合意が破綻したことで、商船に対する攻撃が再燃する恐れもある。元ウクライナ海軍大佐アンドリー・リジェンコは本誌に対し、ロシアが「間接的な挑発行為」を行い、商船の航行を邪魔する可能性があると述べた。

リジェンコによれば、ロシアは22年にエストニアの貨物船を沈めたような機雷をさらに設置するかもしれない。あるいは民間の船舶を、後で言い逃れをするのが比較的容易な空爆やドローン攻撃の標的にするかもしれない。

「1隻でも犠牲になれば大騒ぎになり、商船の航行はストップするだろう。ストップしなければ物流会社のイメージダウンを招く」と、リジェンコは言う。

トルコが強大な海軍力を武器に、商船の安全航行を確保するのは難しい。そうした決断を下せば、NATO共々ロシアと直接対決するリスクを負うことになるからだ。「たとえ可能でも、トルコはそんな危険は冒さないと思う」と、リジェンコは言う。

ジェイランも同意見だ。「黒海の食糧回廊における航行の安全を、トルコが先頭に立って保障している姿は想像しづらい。ロシアとの対決をトルコは避けるはずだ」

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