2019年から21年にかけての干ばつでは、中国のダムが多大な水量をせき止めたことが原因でメコン川の水位が記録的に低下し、干ばつが悪化したことが、スティムソン・センターと環境調査会社「アイズ・オン・アース」の衛星監視による調査で判明した。

中国は降雨量が少なかったためだとして調査結果に反論。2020年には、年間を通じて自国内の流量データを共有することでMRCと協定を結んでいるとしている。

エネルギー需要

国際エネルギー機関(IEA)の2021年の報告書では、新興国や発展途上国における潜在的な可能性がとりわけ高いことから、水力発電は「低炭素エネルギー生成の主役」だと評価している。

中国は世界最大の水力発電市場だ。IEAによると、中国企業は2030年までにサブサハラ・アフリカ、東南アジア、ラテンアメリカ地域における新規の水力発電のうち半数以上を担うという。

メコン川下流域のエネルギー需要は年間6─7%上昇すると予想され、「完全な水力発電開発」によって2040年までに1600億ドル以上の経済効果が見込めるとMRCは推測する。

ただ、住民が移住を強いられるなど、水力発電プロジェクトによる影響を懸念する声も世界中で高まりつつある。

ラオスでは2018年、建設途中のダムが決壊し、突発的な洪水で家が流され、数十人が死亡。「アジアのバッテリー」になることを目指していた同国で、水力発電のイメージに影を落とした。

「予想不可能な川」

ラクチェンコーン保護団体の二ワット・ロイケウ代表(63)は、何世代にもわたってメコン川に頼った生活を送って来た流域の集落の人々も、もはや川の側で暮らす術が分からなくなっていると指摘する。 

「ダムがあっては、川の動きが予測不可能になり、これまで積み重ねてきた知識も無意味だ」とロイケウ氏は嘆く。同氏は2022年、ゴールドマン環境賞を受賞している。

  スティムソンセンターとアイズ・オン・アースによるメコンダムの監視は、衛星画像とリモートセンシング技術を用いて、24時間以内に水位が0.5メートル増減した場合に、周辺のタイ・ラオス国境の集落に対して警告を行っている。

だが、こうした監視も他の選択肢を持たない集落にとってはほとんど意味が無い、とロイケウ氏は言う。同氏は地元の子供たちに川について教える「メコン学校」をチェンコーンで開催しているほか、研究者にも情報を提供している。

「人々が望んでいること、それは当然のことながら、包括的に協議をして川の共同管理を行うことだ」

4月まで続く現在の乾期でトーンさんはカイの収穫に注力している。運が良く数キロ採ることができた日には、一部を薄く延ばして日干しして乾燥させる。間食用として、市場でも高値がつく。

「毎日、収穫を終えて川を引き上げるタイミングも、一日にどれだけ収穫できるかもわからない。収穫できるときに可能な限り採っておかなくては」

[ロイター]
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