「普通の高校で浮いている子として、ウェンズデーを描くこともできた。でもネバーモアなら、オリジナルの世界観に沿ったキャラクターや物語を展開しやすい」

オリジナルとは、漫画家チャールズ・アダムスが1938年にニューヨーカー誌で連載を始めた一コマ漫画だ。

「漫画にはおかしなキャラがわんさか登場する」と、ガフは言う。「アダムス家の屋敷を出て、広い世界でそうしたキャラクターにスポットライトを当てたかった」

「はみ出し者」への共感

鬼才ティム・バートンはまさにそんなアプローチに引かれて参加を決め、全8話のうち4話を監督した。

ガフとミラーによれば、バートンはファンの意表を突くことに精力を傾けた。「このドラマは知られざるストーリーを語る新たな幕開け。既成の映画やアニメのリメークに、ティムは興味がなかった」とミラーは言う。

「彼を引き付けたのは、『アダムス』の世界の中で新しいものをつくるという発想だった。またティムは、はみ出し者のウェンズデーに親しみを感じていた。彼は昔から自分をはみ出し者だと思っていて、高校生活もウェンズデーと重なる部分が多かったらしい」

バートンが興味を示したのは「すごいことだ」と、ガフは言う。バートンが最後にテレビに関わったのは80年代だったから、監督をオファーしても断られるのではないかと2人は気をもんだ。

「ティム・バートンにぴったりな企画だと売り込んでも、先方のエージェントは『彼はテレビはやらない。興味がない』と素っ気なかった」。そうガフは振り返る。

「しかし打診しなければ最初から答えはノーだから、ダメ元で脚本を送った。宇宙のかなたに手紙を出すようなものだったが、宇宙から返事が届き、ティムと電話で打ち合わせをする運びとなった。ティムは昔からウェンズデーの大ファンで、脚本に共感したと話してくれた。『僕の高校にウェンズデーがいたらきっとデートに誘ったよ』って」

手応えはばっちりだった。2時間の映画ではなく8時間以上かけてストーリーを紡ぐドラマの形式にも、バートンは可能性を感じたようだ。

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はみ出し者のウェンズデーに高校時代の自分を重ねたというバートン(中央)  VLAD CIOPLEA/NETFLIX
幻となった「アニメ版」