<共和党の牙城であるテキサス州は、民主党寄りの新規住民が増える一方で、政治はなぜかますます保守化。日本には伝わりにくい本音と憎悪が飛び交う現実を、テキサス在住17年の筆者が炙り出す>
ドナルド・トランプが当選した6年前の大統領選の直後、テキサス州に住む私の近所の家の玄関前にこのような文面の置き手紙があった。
「新大統領のドナルド・J・トランプは、われわれ白人への神様からの贈り物である。イスラム教徒、インディアン、黒人、ユダヤ人を排除して、この国を正しい道に戻そう。われわれはこの運動をテキサスから始める。それ以外の州についてはトランプ大統領が手を打ってくれる。彼ら外国人は、われわれの高給の職を奪って、われわれの生活を脅かしている。
また、そのしばらく後、私が勤務する大学でも、「メキシコ人は出ていけ」という張り紙が夜の間にこっそり廊下の壁に貼られていたことがあった。メキシコからの留学生が、「アメリカに来てから初めて身の危険を感じた」と嘆息していた。
人種差別主義者たちは、前から私の周りに存在してはいたのだろう。それが以前よりも活発になり、目に見える存在になってきた。それが、近年私が感じる最大の変化である。
テキサス州は、人口と面積の両方において全米50州のうち2位の巨大州である。大統領選挙の際の選挙人の数は次回からはさらに2人増えて40人になり、小さい州10個分以上もの重みを持つ。ここ数十年は共和党の牙城であり、保守色が強いことで有名である。
私はこのテキサス州に住んでもう17年になる。私がここに住み始めて以降でも、テキサスは大きく変わりつつあるし、また、いくつかの意味で、テキサスで起きている変化はアメリカ全体の変化の縮図でもあり、この先アメリカの多くの場所で起きるであろう変化を先取りしているとも思われる。