結果として、大企業とベンチャー企業、両方のリアリティを知れたのは良い経験になりました。組織を越えたコラボレーションが求められる時代にあって、大企業とベンチャー企業の目線をあわせ持ち、双方をつなげられる人材は貴重だと考えます。

沢渡さんが「ダムのそば」でワーケーションするのはなぜ?

── 本書では、越境学習の手段として、ワーケーションや複業・パラレルキャリアなどが挙げられていました。沢渡さんは「#ダム際ワーキング」の推進者として、ダムのそばでワーケーションするのがお決まりなんですよね。

はい。今も実は、三ヶ日(みっかび)という浜名湖沿いののどなかエリアのオフィスにいます。

(なお、この原稿のチェックも愛知県豊田市の羽布(はぶ)ダムで #ダム際ワーキング しながら行いました)

── うらやましいです! まわりを見渡してみると、ワーケーションに興味があっても、会社や上司が許可してくれないと嘆く人も多いように思います。沢渡さんのご経験から、ワーケーション反対派の人にメリットを伝えるとしたらどんなことが挙げられますか?

個人ワークとグループワーク、それぞれにメリットがあると実感しています。

ワーケーションで個人ワークをするメリットは、何より作業がはかどること。ダム際のように、あえて「何もない」場所を選ぶことで、誘惑に負けることなく仕事に打ち込めます。一方、たとえば京都の観光地などでは、私の場合はお寺巡りに出かけたくなって気が散り、仕事が進まないかもしれませんね(笑)。

もう一つのメリットは、場所を変えることで気分が上がって、イヤな仕事や苦手な仕事に取り組みやすくなること。会社や上司に「誰もやりたがらない仕事なので、私が引き受けます。その代わりワーケーションでやらせてください!」とトレードオフを提案してみるのもありだと思います。私はこれを「その代わりワーケーション」「せめてワーケーション」と呼んでいます。

── その手がありましたね! 続いて、ワーケーションでグループワークをするメリットについてはいかがでしょうか。

やはり、チームビルディングに適していることでしょう。同じ景色を見て同じ釜の飯を食う経験ができるので、短期間でぐっと絆が深まります。オフィスに戻ってからも「あのとき、浜名湖近くのダムで話したことだけど......」などと言うだけで、そのときの雰囲気と記憶がよみがえるはずです。つまり、リマインド効果がある。

「社会の同調圧力に屈しない人」の時代がやってきた