それは映画も同様だ。ジョン・フォードの西部劇に代表される勧善懲悪の時代があり、赤狩りの時代には「ハリウッド・テン」(投獄された10人の映画関係者)を追放して国家主義に擦り寄り、その後に一転して反体制・反権力を標榜するアメリカン・ニューシネマの時代になり、最近では赤狩り時代を批判する映画も量産されている。
本作は超娯楽作品でありながら、しっかりと現政権を批判する。反作用の力を常にはらませる。ディカプリオもペンもハリウッドでは反トランプの急先鋒だ。そのキャスティングでこの演出。完璧だ。反作用の弱い日本でこの映画を観ながら、僕はため息ばかりついている。
『ワン・バトル・アフター・アナザー』(2025年)
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監督/ポール・トーマス・アンダーソン
出演/レオナルド・ディカプリオ、ショーン・ペン
<本誌2026年2月3日号掲載>
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