そうですね。ある会社の創業役員を務めていたときのこと。当時の僕は、オフィスの真ん中で誰かと言い争いをするようなこともしばしばあったのですが、売り上げを上げていたからか「ダメですよ」と言ってくれる人はいませんでした。

組織の人数は、毎年倍々のペースで増えていき、正直なところ自分のマネジメントスキルがまったく追いついていませんでした。そしてあるとき何もかもうまくいかなくなったんです。

途方に暮れていたら、あるメンバーが「高橋さん、自分のマネジメントがまわりにどう思われているか知りたいですか?」と声をかけてくれました。

藁にもすがる思いで「教えてください」と答えたら、そのメンバーから、僕を含めた数人に「KYマネジメントへの意見募集」というメールが届きまして......(笑)。

── ストレートですね(笑)。

はい(笑)。でもみんなから届いた意見は、ごくまっとうなものでした。

みんなの意見を読んで自分の愚かさに気づき、翌週の営業会議で「もしかしたら僕は間違っていたのかもしれません。みんなの話を聞きたいです」と言ってみたことをきっかけに、まわりとの関係性が少しずつ変わっていきました。異を唱えてくれた人がいたからこそ、「このままじゃいけない」という気づきを得られたんです。

── 壁を乗り越えて、ご自身だけでなく、周囲との関係性も変わったんですね。

仲が深まりましたね。このときの仲間だけでなく、いま一緒に仕事をしているパートナーの方たちの多くとも、「壁」を乗り越えて、いいお付き合いができています。

壁を乗り越えると、相手と一緒に爽快な景色を見ることができます。その景色は、壁がないと見えなかったもの。「壁は必ずしも悪いものじゃない」というのも、本書を通して伝えたいメッセージです。

上司にプレゼンする前に考えておくべき3つのポイント

── 「人を動かす力」はあらゆる場面で必要ですよね。

本書では、「上司や社内の承認を得る」「社内外に協力を依頼する」「メンバーを指導する」「社内外の相手と交渉する」「お客様に提案する」の5つの「人を動かす場面」を取り上げています。

こうした場面で、多くの人は、自分が欲しい結論ありきで考えるはずです。プレゼンもそうですよね。今回のゴールは上司の承認を得ることで、そのために必要な情報は......と。

これはこれで必要な作業でしょう。ただこれにプラスして「ここに相手が異を唱えるとしたら?」という視点での検討も必要だと思うのです。

4つの壁を使って準備しておく
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