<Newsweekが選出する「破壊的イノベーター50」。ネットフリックスのベラ・バジャリアは、いま世界で最も影響力のあるテレビ番組編成者の1人>

アメリカで昨年、韓国発のサバイバル劇『イカゲーム』と、黒人怪盗紳士が主人公のフランス発『Lupin/ルパン』という2つの外国語ドラマが大ヒットするなんて、誰が予想できただろう。

ネットフリックスでグローバルTV部門責任者を務めるベラ・バジャリアでさえ、予想するのは不可能だと言う。

バジャリアの仕事は、次のヒット番組を発掘すること。それが世界のどこか思いもよらないところから出てきたらなおいい。

「物語の輸出はハリウッドの専売特許だと広く思われてきたけれど、私の見るにハリウッドは作り手の幅が実に狭い」とバジャリアは言う。「私たちは世界中のあらゆるタイプのクリエーターに門戸を開いている」

ネットフリックスは世界最大の動画配信サービスであり、そこで働くバジャリアは世界で最も影響力のあるテレビ番組編成者の1人だ。バジャリアたちの番組選びが、私たちのいつも見ているテレビ番組のラインアップを左右していると言っても過言ではない。

ネットフリックスによれば、アメリカにおける英語以外の言語の番組の視聴は過去2年間に67%も増加した。日本のアニメの視聴は倍増し、韓流ドラマでは3倍になった。

コロナ禍でおうち時間が長くなったのもそうしたトレンドを後押しした。例えばドイツやメキシコ発の番組がネットで話題になると、世界中の人たちがこぞってそれを見た。

ネットフリックスもコンテンツの国境の壁を取り払う努力をしている。同社は全部で34カ国語の吹き替えと37カ国語の字幕を提供している。

ドラマが子供時代の力に

バジャリアの国際感覚は子供の頃の経験に根差している。ロンドンでインド出身の両親の間に生まれたバジャリアは幼い頃にザンビアに移り住み、9歳の時にロサンゼルスにやって来た。

「当時の私は茶色い肌のインド人の女の子で、話す言葉はイギリスなまり。周囲に溶け込むことが何より大事な年頃の子供にとっては手に余る状況だった」

「だからテレビをたくさん見てなまりを直そうとした」とバジャリアは言う。彼女は『奥さまは魔女』や『ゆかいなブレディ家』といったドラマをひたすら見てアメリカ文化を学んだ。そして2カ月もするとアメリカ人と同じ話し方ができるようになっていた。

「今はほかの人と違っていてよかったと思っているし、それが大きな力になっている。でも9歳の時の私にはそれは分からなかった」

各国の視聴者に向けた「地元産」コンテンツを拡充
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