だが映画の、そしてバンドの要は、恋人同士にさえ見えるジョンとポールの友情だ。それはほころびてはいるが壊れてはおらず、常に2人の瞳の中で、あるいは他人に入る隙を与えないやりとりの中できらめいている。

そんな絆がつぶさに見られるのは、ジャクソンの功績だ。監督は、ビートルズの名曲を借りるならば「ロング・アンド・ワインディング・ロード(長く曲がりくねった道)」を選ぶことで、2人の心の機微を丁寧に作品に焼き付けた。

「年を取れば、ビートルズはきっとまた一緒に歌えるようになるよ」と、ポールはジョンに言う。11年後に友が凶弾に倒れることは、もちろん知るはずもない。『ザ・ビートルズ』を見るにつけ、あの事件さえなければポールの願いがかなったのにと、胸がつぶれる思いがする。

だから、あの警官に言いたい。ゲリラライブは「必要ない」ものだったかもしれない。しかし愛とはいつだって、平穏を乱すものなのだ、と。

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