<「仮想通貨大国」を目指し経済改革を狙うウクライナだが、犯罪への悪用や環境負荷の高さなど問題は山積している>

それなりの経済規模はあるけれど産業の主力は農業と鉄鋼業で、国外の投資家には見向きもされない。そんな国が、外資を呼び込むにはどうしたらいいか。

ウクライナの答えはビットコインに代表される暗号資産(仮想通貨)だ。ロシアからクリミア半島を取り戻すことは無理でも、仮想通貨に群がる金融業者は呼び込めるかもしれない。だが、そこにはリスクが潜む。

ウクライナの南東部、ロシアからも近いザポリージャ原子力発電所のすぐ隣で、ビットコインのマイニング(売買取引を記録し、その報酬として新たに発行される仮想通貨を得る作業)のための施設が建設されている。ザポリージャ原発の規模は欧州最大だ。

そこを運営する国営企業エネルゴアトムと民間企業の「H2」が約7億ドルの資金を投じて、同原発の電力を無尽蔵に消費する施設を造っているのだ。マイニングには膨大な電力が必要なので、発電所にとっては願ってもない「お得意様」となる。

西部のリウネ原発付近にも、マイニング施設の建設計画がある。こちらはエネルゴアトムに加え、オランダの企業などが出資している。

「仮想通貨の世界的なハブになれる」

いささかうさんくさい話だが、ウクライナ政府は本気で仮想通貨に賭けている。この国には既に「デジタル転換省」というのがあり、いま議会では仮想通貨の新法案が審議中で、関連企業に対する税制上の優遇策も検討されている。

「わが国には才能ある技術者と、ブロックチェーンを生成する企業のコミュニティーがある」と豪語するのは同省副大臣のアレクス・ボルニャコフだ。「彼らは他国の企業よりも早く仮想通貨の勢いに気付き、ビジネスにつなげている」

公式統計によれば、この国には今でも100前後の仮想通貨関連企業がある。サイバーセキュリティー企業のハッケンや投資団体のまとめた報告によれば、2019年7月からの1年間にウクライナから送金された仮想通貨の価値は米ドル換算で82億ドル、入金額は80億ドル相当だった。

ボルニャコフは言う。「これで仮想通貨法が成立すれば、ウクライナは仮想通貨の世界的なハブになれるだろう。企業は『仮想通貨フレンドリー』な国を目指すはずだ」

ダークな面に対処できるか
【関連記事】