トランプ政権時のアメリカ以外の西側諸国が制裁対象者に張本人の陳全国を入れなかったのは、「中国へのさじ加減」であり、「習近平への忖度」としか思えない。何しろ陳全国は習近平が中共中央政治局委員にまで昇進させている人物だからだ。これが、その上の政治局常務委員になれば、チャイナ・セブンとして党の最高の中核グループで君臨することになる。制裁対象として、そういう領域にまで踏み込めるか否か、西側諸国の本気度が試されるということだ。

バイデン政権およびアメリカ以外の西側諸国の今後の動きとともに、日米首脳会談後の菅総理の決断に注目したい。

なお、習近平の父・習仲勲は少数民族を弾圧することに激しく反対し、生涯を賭けて少数民族を愛し、融和策を主張し続けた。父の理念に背いてまで、習近平が少数民族を弾圧するということは即ち、一党支配体制を維持するなら少数民族弾圧は不可避だということの証左である。習近平のアキレス腱だということもできよう。習近平がウイグル弾圧を始めた経緯とともに、これに関しては拙著『習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』で詳述した。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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[執筆者]遠藤 誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史  習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』(ビジネス社、3月22日出版)、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』、『激突!遠藤vs田原 日中と習近平国賓』、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』,『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。
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