あなたは、適応障害の部下を前にしたとき、この3つを自問してみる必要があります。そして、部下を適応障害から救うために、多忙を極める中ではあるにしろ、何かできることはないかと考えてみるべきです。

ここで一つ注意すべきは、外部要因の調整を一刻も早くしなければならないケースを見逃さないことです。もし、そうしなければ、あなたも会社も、法的な責任を問われかねません。それは、労働災害と認定されるケースです。

精神障害の労災認定要件は、次の3つです。

①認定基準の対象となる精神障害を発病していること

②認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6ヶ月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること

③業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

精神障害の労災認定について、2000年には請求件数が212件、認定数36件でした。しかし、15年後の2015年には、それぞれ1515件、472件と急増しています。今後、さらに増加していくことが見込まれます。自己防衛という意味でも、外部要因の調整を軽く考えてはいけません。

①の認定基準の対象となる精神障害には気分障害が含まれ、適応障害はこれに当たります。②は、ストレス源としての外部要因の存在を6ヶ月以上放置してはいけないということです。

労災認定という視点から見たとき、次に挙げる状況が部下に起きたとき、あなたはすみやかに調整すべきです。

①月80時間以上の残業

②2週間(12日間)以上にわたる連続勤務

③達成困難なノルマ

④ひどい嫌がらせ、いじめ、暴行

⑤上司や同僚、部下によるパワーハラスメント

⑥セクシュアルハラスメント

これらは、労災認定を回避するためだけではなく、労災認定されかねないほどに劣悪な外部要因を取り除く義務があるという視点でとらえてください。

ちなみに、労災の認定は、あくまで個々の事案ごとに判断することになり、客観的な基準はありません。ただし、勤怠の時間だけは数字で判断できる部分なので、注意してください。万が一、労災認定の請求をされた際、月の残業時間だけは申し開きができません。あなたは上司として、厳格にこれを管理しておく必要があります。


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