欧州の景気回復ペースが遅いと、経済に「傷跡」、つまり長期的な打撃が残る恐れがある。特に心配なのは若年者の長期失業者だ。こうした失業者は2008/09年の世界金融危機後に増え、ようやく近年になって改善し始めたところだった。

欧州有力シンクタンク、ブリューゲルの推計によると、EU諸国では昨年第2・四半期に15―24歳の労働者の失業率が前年同期の14.9%から16.4%に上昇。一方、55―64歳の層では5.1%から4.8%へと、逆に下がっていた。

金融政策がかい離

ユーロ圏の景気回復が遅れると欧州中央銀行(ECB)としては、米景気の回復で世界的に金利が上昇した場合でも超金融緩和策を維持するという難しい状況に追い込まれかねない。

欧米の金融政策の分離状態は、既に市場に表れ始めている。10年物米国債利回りが年初から20ベーシスポイント上昇した一方、ドイツの10年物国債利回りはマイナス0.46%前後で推移している。

ジェフリーズの欧州エコノミスト、マルチェル・アレクサンドロビッチ氏は「今はどの中銀も同じ事を行っているが、22年にはECBが依然としてより緩和に傾くことで、他の中銀との政策のかい離を巡って多くの問題点が出てくるだろう」と述べた。

もっとも、欧州諸国は米国ほどではないにせよ積極的な財政・金融政策を行っているため、世界金融危機の後に比べれば回復の遅れが小幅にとどまるかもしれない。

ベレンバーグのアナリストらは、経済がコロナ禍前水準への回復に要する期間はユーロ圏が約9四半期、米国が6四半期と予想。世界経済危機の後はユーロ圏が回復に7年かかった一方、米国は3年半で元に戻っており、当時に比べると差は小さくなるとみている。

(Dhara Ranasinghe記者)

[ロイター]
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