トンデモ度2位「真の犠牲者はトランプだ」

トランプ弁護団に言わせれば、下院の手続き違反こそトランプが他に類をみないほど迫害されていることの証拠だ。

「法的に必要な手続きを省略した下院の行動は『第45代アメリカ合衆国大統領』という一個人から基本的人権と市民権を奪うことを意味する。つまり下院による今回の前例によって、将来、第45代大統領と同じ立場に置かれた人は権利章典で保障された市民としての権利を奪われることになる。

今回の下院の行動は、第45代大統領がこの偉大な国家の基盤である自由を享受できないことを明らかにした。その自由には、全てのアメリカの自由を支える言論、とりわけ政治的言論の自由が含まれているはずなのだが」

聞こえのいいレトリックだ。真の犠牲者は「殺すぞ」と脅された議員やそのスタッフでも、あの日に命を落とした5人でも一連の騒動で封鎖された都市でもなく、ドナルド・トランプ自身だという主張だ。

トンデモ度1位「勝ったと信じているトランプに罪はない」

最高に救い難い主張はこれ。被告人ドナルド・トランプは「あの選挙は盗まれた」と本気で信じており、そうではないと他人が証明することはできないと弁護団は言う。「第45代大統領の言い分が正しいかどうかを結論付ける十分な証拠は存在しない。だから、理性に従う法律専門家はそれを虚偽と断定できない」

ここで大事なのは、「選挙が盗まれた」という主張は弁護団のものではなく、従ってその証拠を弁護団が示す義務はないという理屈だ。実際には複数の法廷で何度も否定されているが、被告人は今も「選挙が盗まれた」と信じている。だから弁護団もそれを信じるということ。さて、どうなることやら。結果をお楽しみに!

©2021 The Slate Group

<本誌2021年2月16日号掲載>

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