5年前、半世紀に及ぶ軍の支配に終止符を打って比較的自由な選挙が導入されたのは奇跡とも言えた。今回の選挙も、多数派の意思が確認できたという点では民主的だった。それでもビルマ人と少数民族との間で政治権力をどう分け合うかという問題は、いまだ解決されていない。

その副作用の1つが、効果的な経済政策の不在だろう。NLDがそれぞれの社会階級に目配りした経済政策を打ち出さないので、経済格差を背景にした宗教・民族的分断は深まるばかりだ。

今回の総選挙はミャンマーの溝を埋めるよりも、深める方向に働いた。公平な選挙は国民主権の必要条件ではあるが、必ずしも十分条件ではないことも思い出させた。ミャンマーが真の民主国家になるための道のりは、まだ遠い。

From thediplomat.com

<2020年11月24日号掲載>

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