<自宅学習の重荷を負う親のストレスのほうが何より危険。親が最優先に考えるべきことは、今までと変わらない。本誌「コロナストレス 長期化への処方箋」特集より>

そう思っているのはあなただけではない。まずは、深呼吸をして。それから大声でこう言おう。「私は子供の先生ではない。私は親だ」
自分が一夜にして自宅学習の先生になった、と思うのは間違いだ。子供に読み書きや算数を教える責任は、今も学校にある。学校や先生たちは今、未知のコロナ禍に対応すべくベストを尽くしている。親たちは、パニックにならなくても大丈夫だ。
焦って自宅学習用の教材を買いに走らなくてもいいし、ネット動画で算数の教え方を探さなくてもいい。子供の毎日を学習時間でいっぱいにする必要もない。親が最優先に考えるべきことは、今までと同じ。子供が健康で幸せでいることだ。
子供は日課をこなしながら成長するものだが、今はそれがなくなってしまった。親としては、子供の脳が活発であり続けるための方法を提供してあげることが大事。学習の成果は、今は気にしなくていい。
子供たちが、いま世界で起きている事態を理解し対応できるように助けてあげるのが親の役目だ。親子にとってより大きなリスクは、親が子供の教育に全責任を持たねばならないと思い込み、多大なストレスを抱えることだろう。
親はまず、「子供の教育」という重荷を下ろすこと。今は子供に寄り添い、大きな愛とサポートを与える時だ。宿題について子供とけんかするのではなく、家族として存続し前進できる方法を考えたほうがいい。
そのためには、親とたっぷり過ごす時間は週末に限定し、平日はテレビやネット三昧をOKにするのもあり。私のように、子供がそばで暴れ回っているなかヘッドセットを着けて仕事をしていてもいい。こうした状況を含め、あらゆるやり方が、完璧な子育てだと考えられるべきだ。
もしこのコロナ禍で子供が予期せぬ状況にどう対処すべきか、カオス的な現状をどう生き抜けるかだけでも学べたとしたら、それはどんな本が教えることより大きい収穫だ。あなたは子供の先生ではないが、親なのだ。さあ、大きく息を吸ってみて。
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<2020年8月25日号「コロナストレス 長期化への処方箋」特集より>
