警察や催涙ガスから逃れたデモ参加者をかくまった教会。天安門事件を記念するミサや集会を開いたカトリック教会。本土から香港を訪れた中国人に共産党やその青年組織からの脱退を呼び掛け、中国政府の人権侵害を訴えた法輪功の活動家──。宗教関係者は新法によって信仰が規制され、本土で行われているような拘束や拷問の対象になるのではないかと恐れている。

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中国本土の法律は当局に最大限の裁量を与えるため、あえて曖昧な表現を使っていることがよくある。今日は違法と見なされなくても、明日には扇動罪や政府転覆罪で拘束されかねない。

だから必要なのだ。国家安全維持法の適用状況に目を光らせることが。そして香港の政治体制がいつどこで道を踏み外すかを注視することが。

From Foreign Policy Magazine

<2020年7月14日号「香港の挽歌」特集より>

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2020年7月14日号(7月7日発売)は「香港の挽歌」特集。もう誰も共産党を止められないのか――。国家安全法制で香港は終わり? 中国の次の狙いと民主化を待つ運命は。PLUS 民主化デモ、ある過激派の告白。
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香港で施行された国家安全維持法は、国家分裂、政権転覆、テロ活動、外国勢力と結託して国家に危害を加える行為という4つの活動を犯罪行為と定めている。これらはまさに、香港の人々が1年にわたり抗議の声を上げてきたことだ。

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国家安全維持法の施行については、香港の親中派も発表の48時間前まで知らされていなかったようだ。新法を成立させた全国人民代表会議に出席していた香港の代表を含め、親中派の政治家は「寝耳に水だった」と語っている。党指導部が香港当局者をこれほどまで信頼していないなら、新法施行に際して香港の慣行や制度を尊重する可能性は低い。