
丸石に限らず宿泊客の多くがリピーターだと、彼らからの手紙を綴じた分厚いファイルを見せながら、金は胸を張る。
そんな「剛の家」ですら昨年秋以降、日本人が減少した。年末年始は日本人とバーベキューをするのが定番だったのに、今年はシンガポールからの宿泊客だけ。しかし金は不安を感じていないという。
「日韓の距離が近くなったり遠くなったりするのは、今に始まったことではないから。免疫ができているし、10年以上の付き合いがあるゲストが多く、彼らに支えられている」

「これまでに何度も、言葉が分からないのに韓国の人が気を遣ってくれるのを肌で感じたことがあった」と、丸石は言う。「日本が好きという人は韓国にたくさんいると思う。相手を知れば差別意識を持つこともないし、僕は韓国と親しくしたい」
自分の目で相手を見て知ること。それを実践してきた丸石と金の関係は、揺るぎないものに思えた。金には2人、丸石には4人の息子がいるが、父親たちの姿を見ている彼らが、日韓の未来を切り開いていくことを今は願う。
※この記事は「私たちが日本の●●を好きな理由【韓国人編】」特集掲載の記事「日本人客をおもてなし 『小川剛』の語った原点」の拡大版です。詳しくは本誌をご覧ください。
「私たちが日本の●●を好きな理由【韓国人編】」より
●「韓国人」とひとくくりにする人たちへ──日本との縁を育んできた韓国人たちの物語
●ナイトテンポ、「昭和歌謡」で世界をグルーヴする韓国人DJの軌跡
●「短歌は好きのレベルを超えている」韓国人の歌人カン・ハンナは言った

【参考記事】「中国人」とひとくくりにする人たちへ──日本との縁を育んできた中国人たちの物語
