シリアの国内勢力とのコミュニケーションにおいても、ザワヒリは苦戦していた。喫緊の課題に迅速に回答を示せなかったため、地元の司令官らはアルカイダ抜きで話を進めることが多かった。

公開された音声から、ハムザは話術が巧みで、雄弁家だった父の才能を受け継いでいたことが分かる。ザワヒリの冗長で不器用な語り口とは対照的に、ハムザは限られた論点に絞り、要点を何度も繰り返す。

ハムザが死亡し、他にめぼしい後継者もいない今、「ザワヒリ後」に関心が集まるのは避けられない。最高幹部サイフ・アル・アデルの名が上がるだろうが、アルカイダに長年貢献してきた実績を加味しても、聖戦士たちの熱狂を呼び起こせる存在とは言い難い。

ザワヒリが諸外国のテロ組織ネットワークから孤立し、大胆な指揮を執る力も示せないなか、ハムザがアルカイダを次のステージに導くと期待する声が高まっていた。そんな彼の死によって、アルカイダの先行きにはこれまで以上に暗雲が垂れ込めている。

From Foreign Policy Magazine

<2019年8月13&20日号掲載>

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