高齢者では、超加工食品や炎症を促す食品の摂取を減らすことで、うつ症状のリスクが低下する可能性があることが、新たな研究で明らかになった。
オーストラリアのディーキン大学とモナシュ大学の研究チームは、70歳以上の7000人超を対象に、食生活とうつ症状の関係を調べた。参加者の追跡期間は中央値で5.7年。研究結果は、学術誌「モレキュラー・サイキアトリー」に掲載された。
その結果、超加工食品を1日4サービング(目安量)以上摂取していた人では、うつ症状が現れる割合が12%高かった。一方、炎症を抑えるとされる食生活を送っていた人では、炎症を促す食生活の人に比べ、うつ症状が現れるリスクが7%低かった。
さらに、こうした関連は、うつ病になりやすい遺伝的素因や軽度の慢性炎症の有無にかかわらず認められた。研究チームは、全体として食事の質が高いほど、高齢者のうつ症状のリスクが低い傾向にあるとしている。
超加工食品とは、食品や飲料を加工の程度によって分類する「NOVA食品分類」で、加工度が最も高い食品群を指す。炭酸飲料やスナック菓子、チョコレート、キャンディー、アイスクリーム、大量生産の菓子パン・惣菜パン、シリアル、インスタント麺などが含まれる。保存料や甘味料など、一般家庭の調理ではあまり使われない成分を含むものも多い。
超加工食品については、さまざまな健康問題との関連を示す研究が増えており、メンタルヘルスへの影響も指摘されている。ただし、ジョンズ・ホプキンス大学のスーザン・カーネル准教授は「すべての超加工食品が一律に悪いわけではない」と指摘する。全粒穀物を使った一部の食品や植物由来の代替食品も超加工食品に分類されるが、砂糖を多く含む飲料や菓子類ほど健康への悪影響が大きくない可能性があるという。
今回の研究では、食生活が体内の炎症を促す程度についても評価した。超加工食品だけでなく、精製された炭水化物や揚げ物などを日常的に多く摂る食生活は、体内の軽度の慢性炎症を促す可能性があると考えられている。