Steven Scheer Pesha Magid
[エルサレム 27日 ロイター] - 27日に投票が行われるイスラエル総選挙で、ネタニヤフ首相は政治生命を懸けた戦いに臨む。有権者はイスラム組織ハマスによる2023年の奇襲とパレスチナ自治区ガザでの戦闘、イランとの戦争、深まる国際的孤立を踏まえて同氏の指導力に審判を下す。
ただ、通算在任期間が19年と同国最長のネタニヤフ氏は、幾度も政治的危機を乗り切ってきた手ごわい存在だ。ナショナリズム色の濃い政治が一段と定着していることに加え、政党が分立するイスラエルの政治体制の下では、同氏が政権樹立に最も有利な位置に立つ可能性がある。
世論調査では、ネタニヤフ氏率いるリクードと右派の協力政党が、アイゼンコット元軍参謀総長率いる対抗勢力と接戦を繰り広げている。アイゼンコット氏は安全保障政策で強硬派とされ、右派と中道の支持を集めている。
ネタニヤフ氏は戦時下での指導力や、イスラエルと共にイランとの戦争に加わったトランプ米大統領との関係を前面に掲げて選挙戦を展開している。ネタニヤフ氏は25日、トランプ氏が「イランの脅威をついに排除する」ための行動を取る用意があると述べたが、それはネタニヤフ氏自身が権力の座にとどまる場合に限られるとした。
アイゼンコット氏は、ネタニヤフ氏が「恐怖をあおり、うそと脅しに頼る選挙運動」を展開していると非難。トランプ氏が「国民に選ばれたいかなる指導者とも全面的に協力する」と確信していると述べた。
ネタニヤフ氏は、政権樹立のために再び極右指導者のベングビール氏やスモトリッチ氏に依存する可能性がある。両氏はパレスチナ人に対する暴力を扇動したとして、一部の西側諸国から制裁を受けているが、ベングビール氏率いる「ユダヤの力」は世論調査で支持を伸ばしている。
ネタニヤフ、アイゼンコット両氏とも、政権獲得への明確な道筋は見えていない。いずれも連立政権を樹立できなければ、ネタニヤフ氏が27年の再選挙まで暫定首相として続投する可能性がある。
投票は午前7時(日本時間午後2時)から午後10時(同28日午前5時)まで行われる。
<10月7日の責任>
ネタニヤフ氏の反対派の多くにとって今回の選挙は、イスラエル史上最悪の犠牲を出した23年10月7日の治安上の失策に対する責任が争点となる。
教育省職員でアイゼンコット氏の支持者であるマリ・ハジャジさんは「最も重要なのは国家調査委員会の設置だ。そこから私たちの癒やしが始まるからだ」と述べた。
リサ・トルトーさんは、ネタニヤフ氏が退陣し「新政権が発足して、ビビ(ネタニヤフ氏)が世界中のユダヤ人やイスラエル、イスラエルのイメージに与えた損害の一部でも修復してほしい」と語った。
一方、リクード支持者のノフ・ガバイさんは、10月7日の責任がネタニヤフ氏にあるとの見方を否定し、同氏は「イスラエルという国にふさわしい人物だ」と指摘。「ネタニヤフ氏は最善の形で戦争を指揮した」と述べた。