William Schomberg David Milliken

[ロンドン 8日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁は8日、各国政府は財政への信頼回復に向けた取り組みを一段と強化する必要があると述べた。多額の借り入れやイラン戦争に伴うインフレ加速を背景に、世界の債券市場には売り圧力がかかっている。

世界的な債券売りで特にフランスが大きな打撃を受け、英国の国債利回りもこの日、数十年ぶりの水準に上昇する中、投資家がより高い利回りを要求するのを抑えるには、財政政策が信頼できると受け止められる必要があると指摘した。

トルコ中央銀行がイスタンブールで開いた会議で演説し、「財政政策がどのような方針であれ、信頼でき、安定を目指すものでなければならず、市場からもそう見られる必要がある。その方針を継続して堅持する姿勢が、リスクプレミアムの発生を抑える一助となり得る」と述べた。

通常は財政政策への言及を避けるベイリー氏だが、「こうした姿勢がかつてなく必要とされている」と述べた。

今回の発言は、ヒーリー英財務相による初の予算案発表を3週間弱後に控える中で行われた。中東での紛争に伴う借り入れコストの上昇により、予算編成の余地は制約されるとみられている。

ベイリー氏は最近の金融市場の急激な動きについて「正常な状態からはかなり離れている」としつつも、強いストレスがかかったり、流動性不足を反映したりする段階には至っていないと指摘。経済全体としてはエネルギー価格の急騰に対する底堅さを維持していると述べた。

<中銀はインフレ抑制に専念を>

ベイリー氏はまた、中銀はインフレ抑制という責務に引き続き専念しなければならないとも述べた。これに先立ち、英中銀チーフエコノミストのヒュー・ピル氏も、金融市場の混乱に言及しつつ同様の見解を示していた。

ベイリー氏はこれまで、英中銀の政策決定者の多数派とともに政策金利据え置きを支持してきた。イラン戦争によるエネルギー価格への影響に対応して利上げした欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備理事会(FRB)とは異なる対応を取っている。

演説では、英国でエネルギー価格の上昇がより広範なインフレに波及している兆候は依然として「かなり限定的」との見方を改めて示した。ただ、「まだ初期段階で、エネルギー価格の高止まりが長引くほど状況は難しくなる」とも述べた。

8日の英国債利回りは、原油価格の再度の急騰をきっかけとする世界的な債券売りを受け、数十年ぶりの高水準に達した。

ベイリー氏は、債券市場が脆弱化しているとの懸念を強調し、投資家による大規模かつ集中したポジションが広範な混乱を招く可能性について、政策当局者は「決して気を緩めることはできない」と述べた。

一方、債券運用大手PIMCOの元最高経営責任者(CEO)、モハメド・エラリアン氏は8日、米国とイスラエルによる対イラン戦争への懸念や、2027年の選挙を控えたフランスの財政状況などを背景に、市場は債券利回り上昇から抜け出せない状態に陥っているようだと述べた。

コンサルティング会社ユーラシア・グループとLSEGがロンドンで開いた会議で、「債券市場が今、問うている大きな疑問は、この流れに歯止めをかけるものがどこにあるのかということだ」と語った。

エラリアン氏は「市場のテクニカル要因が歯止めとなるのか、それとも政策なのか。現時点では、誰も十分な答えを持っていない」と語った。

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