冷戦以降、「歴史の終わり」や「文明の衝突」などの歴史のグランド・スキームがあり、さらにはハラリやダイアモンドによるグローバル・ヒストリーもあったが、それに対する左翼からの応答が、柄谷行人の「世界史の構造」と見なされているのかもしれない。
以上のことからも分かるように、日本の外では、柄谷行人は『トランスクリティーク』、ないしは『世界史の構造』の著者であり、思想家、ないしはマルクス主義の理論家として知られていて、もはや文芸評論家ではない。この変化自体が「近代文学の終わり」を表してもいる。
吉国浩哉(Hiroki Yoshikuni)
1972年生。東京大学教員(アメリカ文学)。訳書にロドルフ・ガシェ『読むことのワイルド・カード─ポール・ド・マンについて』(月曜社、2021年)、ロドルフ・ガシェ『いまだない世界を求めて』(月曜社、2012年)、Kojin Karatani, Nation and Aesthetics (Oxford, 2017)、論文に「死者はわれわれが思うほど死んでいるわけではない──東日本大震災と憑依の物語」(『世界』2026年9月号)などがある。
*2024年度サントリー文化財団「海外出版助成」の助成図書です。
『The End of Modern Literature:On Permanent Revolution』
Kojin Karatani[著]
Jonathan E. Abel, Yoshiki Tajiri and Hiroki Yoshikuni[編]
Verso Books[刊]
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