Tamiyuki Kihara

[23日 ロイター] - 高市早苗首相は23日(現地時間22日)、米ニューヨークの国連本部で開かれている国連総会の一般討論演説に臨む。地政学的対立の先鋭化によって国際情勢が緊迫し、自由な交易やエネルギーの安定供給が脅かされているとし、日本が注力する三つの柱を提唱する。国際刑事裁判所(ICC)などを例に挙げ、国際裁判所と法の支配の重要性を一貫して支持する日本の姿勢をアピールする。

演説の中で高市氏はまず、世界各地で地政学的競争が激化し、日々罪のない市民が命を失っているとの問題意識を提示。「国際社会が新たな課題を乗り越えて繁栄する上で、今ほど、国連が重要な時代はない」と強調する。

その上で、安倍晋三元首相が提唱した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」に言及。自由な交易が妨げられ、エネルギーの安定供給やサプライチェーン(供給網)に支障が生じているとし、「自らの運命を自らの手で決めるために必要な『自律性』と『強靱性』を、経済・社会・安全保障という全ての面で各国が身につけていく」ため、三つの柱を提唱する。

一つ目は、エネルギー・重要物資のサプライチェーン強靱化だ。特定の国は名指しせず「国際社会全体で恣意的な輸出規制に対する懸念が強まっている」とし、日本の取り組みを紹介する。

二つ目は平和と安定に向けた連携強化。日本が戦後一貫して核軍縮・不拡散に取り組んできたとし、「『核兵器のない世界』に向けた国際社会の取り組みを主導することは、唯一の戦争被爆国である我が国の使命」と強調する。ロシアと北朝鮮の軍事協力によって「核・ミサイル関連技術の拡散も懸念される」とする一方、北朝鮮による拉致問題の文脈では「互いに実りある関係を作るべく、私には、対話し、具体的に行動する用意がある」と呼びかける。

三つ目に挙げるのは、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・発展への貢献だ。力や威圧による一方的な現状変更の試みは「世界のどこであっても認めることはできない」と訴える。また、ICCなどを例示し、「様々な国際裁判所を一貫して支持し、判事を輩出していること」が、法の支配を重視する日本の姿勢の表れだと強調する。米国から制裁対象とされた赤根智子ICC所長の名前には触れない見通しだ。イラン情勢も取り上げ、ホルムズ海峡の自由かつ安全な航行は「国際経済全体の安定のためにも極めて重要だ」と指摘する。

高市氏はこの他、気候変動対策の重要性に加え、第二次世界大戦の敗戦国を対象にした「旧敵国条項」の削除を含む国連憲章の見直しや安全保障理事会の変革など、国連改革の必要性を訴える。日本が国連と歩みを重ねる方針は今後も変わらないとし、「国連と共に、インド太平洋を、そして国際社会を、より強靱に豊かにして、平和と繁栄を創る決意だ」と述べる予定だ。

「旧敵国条項」を巡っては、高市氏が昨年11月、台湾有事について国会で「存立危機事態になり得る」と答弁した後、中国がソーシャルメディア上で同条項は依然有効だと主張。今月にも同様の見解を示している。

渡米前の21日夜、高市氏は首相公邸で記者団に「きょうもぎりぎりまでペン入れをしていた」と明かした上で、北朝鮮による拉致の問題や気候変動対策の重要性、法の支配の重視などを訴えたいと語っていた。

(鬼原民幸 編集:久保信博)

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