Kentaro Sugiyama Takahiko Wada
[東京 18日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は18日、金融政策決定会合後の会見で、基調的な物価上昇率が2%に接近しつつあるとして「政策の局面が変化した」との認識を示した。これまで基調物価を2%に引き上げていくことが目標だったが、2%定着へ物価の上振れリスクが経済に悪影響を及ぼさないよう配慮する段階へ移りつつあるとの見方を示した。
25ベーシスポイントを上回る利上げの可能性については「物価情勢次第で様々な可能性がある」と述べ、「特定のやり方を排除するということを前もって言うことはできない」と説明した。一方、急激な利上げで資産価格に大きな調整が起こることは避けなければならないとも語った。
大幅利上げや連続利上げは、物価が目標を大きく上回って上昇していくリスクが高い場合や、すでに目標超過の状態にある場合に必要になるとの認識を示し、2022─23年の米欧の引き締め局面を例に挙げた。
その上で、日銀として、そうした事態を避けるため、先手を打って政策運営を行う考えを表明。政策調整によって経済や金融市場に不測の影響を与えるような大幅利上げに追い込まれる可能性を減らしていきたいと語った。
<利上げのタイミングやペース、見通し実現の確度やリスク点検し検討>
日銀はこの日の決定会合で、政策金利である無担保コールレート翌日物の誘導目標を1.0%程度から1.25%程度に引き上げることを7対2の賛成多数で決めた。
植田総裁は、今回の利上げ後も金融環境は緩和的な状況にあるとの認識を示し、基調的な物価上昇率が2%に近づいている中で、経済・物価・金融情勢に応じて引き続き利上げしていくことになると語った。
利上げのタイミングやペースについては「中東情勢や人工知能(AI)関連需要の拡大、為替相場の変動の影響を含め、経済・物価の中心的な見通しが実現する確度やリスクを点検しながら検討していく」と繰り返した。
今回の利上げには浅田統一郎委員と佐藤綾野委員が反対した。植田総裁は「ある種適切な議論が行われた結果だ」との認識を示した。市場でタカ派的とみられている高田創委員と田村直樹委員が来年7月に退任するが「そこを心配して決定のペース等を考えることは基本的にない」と述べた。
今回の利上げを巡っては、ベセント米財務長官が日銀の金融政策に繰り返し言及し、市場が9月会合での利上げの可能性をほぼ完全に織り込む異例の展開をたどった。植田総裁は主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議への出席で訪米した際にベセント長官と会談したが、会談の内容を明らかにはしなかった。
決定会合では、気候変動対応オペの制度見直しも決めた。貸付金利を変動金利に変更し、貸付総額の上限を50兆円とした。植田総裁は今回設定した上限は「無理のない額」で、「(金融機関の)気候変動融資にブレーキをかけたいという趣旨のものではない」と説明した。