Takahiko Wada Takaya Yamaguchi Kentaro Sugiyama
[東京 18日 ロイター] - 日銀は18日の金融政策決定会合で、政策金利である無担保コールレート翌日物の誘導目標を1.0%程度から1.25%程度に引き上げることを7対2の賛成多数で決めた。利上げは6月以来3カ月ぶりで、2024年3月の異次元緩和の終了以降で最も短い間隔での追加利上げとなった。政策金利は1995年4月以来約31年ぶりの高水準。基調的な物価上昇率が2%目標を超えて上振れていくリスクに対応する。
利上げには浅田統一郎委員と佐藤綾野委員が反対した。浅田委員は、物価上昇率が2%を下回る中で経済の状況も必ずしも強いとは言えないとして金利の据え置きを主張。佐藤委員は、経済・物価情勢が大きく加速しておらずこのタイミングでの利上げは適切でないとして反対した。
日銀は声明文で、経済・物価は「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で示してきた中心的な見通しにおおむね沿って推移していると指摘。リスク要因として、中東情勢やAI(人工知能)関連需要の拡大、為替変動を挙げた上で、企業の賃金・価格設定行動の積極化や中長期的な予想物価上昇率の上昇などを踏まえれば、基調物価が「2%の物価安定目標を超えて上振れていくリスクがある」と指摘した。
金融環境は「緩和した状態にある」との判断を維持した。政策金利の変更後も「緩和的な金融環境は維持されるため、引き続き経済活動をしっかりサポートしていく」と説明した。
先行きの金融政策運営については、基調的な物価上昇率が2%に近づいている中、現在の金融環境が「緩和的」であることを踏まえれば、「経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」と改めて表明した。
政策調整のタイミングやペースは、中東情勢・AI需要・為替変動の影響を含め、「経済・物価の中心的な見通しの実現する確度やリスクを点検しながら、検討していく」と説明。特に基調物価が2%目標を超えて上振れていくリスクが顕在化し、その後の経済に悪影響を及ぼすことがないよう「基調的な物価上昇率を2%程度の水準で安定させていくという観点が重要になる」とした。
日銀は基調的な物価上昇率について、26年度後半から27年度にかけて物価安定目標とおおむね整合的な水準となり、その後も同程度で推移するとして、従来の見方を維持した。
ただ、物価の見通しについては、高田創委員が「基調的な物価上昇率を含め、消費者物価はすでにおおむね『物価安定の目標』に達する水準にある」として、田村直樹委員が「基調的な物価上昇率は『物価安定の目標』とすでにおおむね整合的な水準で推移している」として、それぞれ反対した。
<気候変動対応オペの制度を見直し>
日銀は利上げに合わせて気候変動対応オペなど各種オペの制度見直しも決めた。
気候変動対応オペについては、貸付金利を貸付日における政策金利から貸付期間中の政策金利の平均値に変更する。貸付総額は50兆円を上限とした。同オペを巡っては、金融機関の預金獲得競争が激化する中で、地方銀行を中心に資金調達手段の1つとして利用が加速し、緩和的な金融環境を段階的に縮小していく現在の政策方針との整合性が専門家から問われていた。7月時点の貸付残高は約25兆円。
被災地金融機関支援オペや共通担保資金供給オペについても、貸付金利を見直した。被災地支援オペについては、東日本大震災を27年5月の貸付をもってオペの対象災害から外すことにした。