Takahiko Wada
[福井市 10日 ロイター] - 日銀の増一行審議委員は10日午後の記者会見で、基調的な物価上昇率について「大きく2%を超える状況が今見えるわけではない」と述べ、0.5%の大幅利上げが必要な環境にはないことを示唆した。
一方で、政策金利が中立金利の推計レンジの下限を下回る状況は「不自然」だとして、早く解消するのが望ましいとの考えも示した。日銀の自然利子率の推計に基づけば、中立金利の推計レンジは1.1―2.5%で、政策金利は現状、推計レンジの下限を下回っている。
ただ、中立金利の水準は「どこが正しいのかはわからない」としたほか、政策金利が1.25%になっても緩和的なのかは「見てみないとわからない」と答えた。
<9月会合での利上げの是非、言明せず>
来週に迫った金融政策決定会合については、外為市場での円高進展や商品市況の上昇などを「全部細かく点検しながら、きっちりと検証して、しっかり次の会合で議論することになる」と述べるにとどめ、利上げの是非を明言しなかった。利上げペースの加速についても「1回ずつきっちりと議論して検討していく」とだけ話した。
市場では、来週の決定会合での利上げの可能性がほぼ完全に織り込まれているほか、12月の追加利上げの可能性についても織り込みが進んでいる。
増委員は、欧米中銀と日銀の金融政策を巡り、利上げで「方向性が一緒なのは、去年の今頃よりある意味やりやすい」と述べた。
このところベセント米財務長官が日銀の金融政策への言及を強めていることについては、コメントを控えた。
増委員の記者会見での発言を受け、国債先物は終盤にかけて下げ幅を縮小した。三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは一連の発言について「全体的に見て、利上げペースの加速やターミナルレートの引き上げを巡る観測に言質を与えなかった」と指摘した。