Kate Abnett

[ブリュッセル 9日 ロイター] - 欧州連合(EU)の監査機関である欧州会計監査院(ECA)は9日、ロシア産エネルギーからの脱却を目指すEUの取り組みが行き詰まりつつあると指摘した。

中東情勢の悪化で世界的に供給が逼迫する中、EUは例年になく少ないガス備蓄量で冬を迎えようとしている。

ECAは報告書の中で、EUはロシア産エネルギーを多様な化石燃料供給源で完全に代替し、再生可能エネルギーと送電網インフラを拡充して今後数年間で加盟国間のエネルギー流通を増加させることを目指しているが、目標達成に十分な投資を行っていないと指摘した。

EUは、2022年にロシアがウクライナへの全面侵攻を開始して以来、ロシアからの燃料輸入を段階的に削減してきた。

ロシア産原油の海上輸送に対する制裁により、EUはロシア産原油の輸入をほぼ完全に停止した。ガス輸入に占めるロシア産の割合は、22年以前の45%から現在は12%に低下している。

だが、ECAは、ロシア産エネルギーからの脱却を目指すEUの計画は、中東情勢の混乱により欧州のエネルギー安全保障が再び脅威に直面する中で行き詰まっていると指摘した。

ガス・インフラ・ヨーロッパのデータによると、EUのガス貯蔵施設の充填率はわずか67%にとどまっており、昨年の同時期に達成した80%の水準を大幅に下回っている。

アナリストらは、特にEUのロシア産ガス段階的廃止計画により、27年1月1日からロシア産液化天然ガス(LNG)の輸入が全面禁止される予定であることから、各国で冬のガス価格高騰のリスクが高まる恐れがあると警告している。

ECAは、EUがロシア産ガスの代替に成功したのは、政策措置というよりは、温暖な天候やエネルギー価格高騰に伴う需要減による部分もあると指摘した。また、各国がロシア産ガスからの脱却を順調に進められるよう、欧州委員会がより積極的に介入すべきだと提言した。

欧州委の報道官は、EUの措置と資金提供が再生可能エネルギープロジェクトを加速させ、ロシア産ガス輸入の大幅な削減に寄与したと説明した上で、ECAの勧告に基づき、フォローアップを行うと述べた。

欧州委は当初、ロシア産エネルギーから脱却する計画には3000億ユーロの投資が必要と見積もり、EU予算からこの資金を確保していた。

だが、各国がこれまでに拠出を約束したのはわずか543億ユーロにとどまっており、これは欧州委が投資ニーズを見誤ったか、各国が計画の実行に苦戦していることを示唆していると、ECAは指摘した。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。