Manoj Kumar Shubham Batra
[ニューデリー 1日 ロイター] - インド経済に、長らく待たれていた民間投資復活の兆しが現れ始めている。成長の原動力を多様化し、世界経済の変動に対する耐性も高める動きと言える。
アジア第3位の経済大国であるインドの2026年4-6月期の実質国内総生産(GDP)は7.8%増となり、市場予想を上回った。これで予想超えは12期連続。力強い成長は、輸入原油への依存度の高さや商品価格の上昇、海外投資資金の流出、通貨ルピーの軟調といった逆風に直面している経済を下支えしている。
とりわけ若年層の雇用不足を巡って批判にさらされているモディ首相は短文投稿サイト「X」への投稿で「悲観論者たちの予想は外れ、インドは再び花開いた」と強調した。
しかし、今回のGDP上振れ以上に注目すべきなのは、成長のけん引役が個人消費や政府支出だけではなくなってきている点にある。長年にわたる政府主導のインフラ投資が、民間資本を呼び込み始めており、4-6月期の経済全体の投資を示す総固定資本形成は前年同期比11.9%増となった。
シティグループのアナリストチームは1日のリポートで「新型コロナ禍による変動を除けば、今回の実質投資の伸びは2018年後半以降で最も力強く、企業設備投資の勢いが改善しているという当社の見方を裏付けている」と指摘した。
国家統計局によると、4-6月期の総固定資本形成の対GDP比率は前年同期の31.4%から34.3%へ上昇した。
インド最大級の経済団体、ASSOCHAMのサウラブ・サニヤル事務局長は「鉄道、人工知能(AI)、半導体分野への投資が拡大しており、経済成長を支えている」と述べ、民間部門を中心とする設備投資が4-6月期に前年同期比で5兆ルピー(527億ドル)超増えたと説明した。
複数のアナリストは、インド準備銀行(RBI、中央銀行)の推計として、1-3月期に工場稼働率が77%近くまで上昇したことを背景に自動車、再生可能エネルギー、防衛分野を中心として民間投資が加速していると言及した。
<民間の呼び水に>
過去2年間の投資拡大は主として政府によるインフラ支出に支えられてきた。シタラマン財務相は、現在の会計年度においても12兆2000億ルピー(1330億ドル)のインフラ支出を提案している。これは5年前の2倍を超える水準だ。
アナリストや銀行関係者によると、こうした公共支出が民間投資を呼び込む効果を生み始めている。その動きは銀行融資の伸びにも表れており、中銀のデータに基づくと、7月31日までの2週間における銀行貸出残高は前年同期比19%超増加してこの10年間で最も急速な伸びだった。産業向け融資も20%増加した。
アクシス銀行のアミタブ・チャウドリー最高経営責任者(CEO)は先月ロイターに、大企業やノンバンク金融機関、金担保ローン向けの需要が融資拡大を引っ張っていると述べた上で、これらの分野を除いても融資需要は堅調で「幅広い分野で成長が見られる」と指摘した。
こうした投資回復は、4-6月期に7.1%成長した底堅い個人消費にも支えられている。
<次世代技術・製造業投資>
インドでは従来型のインフラ投資が引き続き力強い一方で、政府はデータセンター、半導体、高度製造業への投資誘導を一段と強化している。グーグルやアマゾン・ドット・コムなど世界の大手テクノロジー企業は、今後5年間でインドのデータセンター分野に総額400億ドル超を投資する計画を発表した。
航空宇宙・防衛分野でもこうした野心が表れており、インド企業や政府機関は、国産ロケット技術や航空機エンジン技術の開発成果を相次いで公表している。
シティが分析したデータでは、上場インド企業の設備投資は26年3月までの1年で前年比11%増加し、前期の8%増からさらに伸びが加速した。シティは「前年度の景気刺激策による需要の見通し、潤沢な資金供給、低金利、健全な企業財務、そして高水準の設備稼働率」が追い風になるとして、投資回復が本年度まで継続すると予想する。
別の経済団体、PHDCCIのラジーブ・ジュネジャ会長は「投資拡大の構造的要因が強まりつつあることを示す材料は数多い。企業のバランスシートは、前回の投資低迷期だった10年前と比べてはるかに健全になっている」と語った。