後れを取る懸念

こうした動きは偶然ではない。

中国政府は産業観光の推進を掲げ、140カ所を超える公式モデル拠点を指定している。一般向けツアーを1回約60ドルで提供する工場も増えている。

シャオミのEV工場は、24年3月以降、25万人を超える訪問者を受け入れてきた。需要は極めて強く、抽選で割り当てられる入場枠が、オンラインで最高2000元(約300ドル)で転売されている。

生産性の伸び悩みやAI、ロボット分野での後れへの不安を抱える欧州企業幹部にとって、中国は重要な訪問先となっている。

上海を拠点とするプラクシス・アドバイザリーのAIコンサルタント、アレックス・シェンユン・ルー氏は、25年後半以降、最大50人規模の企業訪問団を7回率いてきた。同氏は、そこに不安な空気があると説明する。

「欧州で最も賢い人々は状況を鋭く認識している。不安は手に取るように感じられる」とルー氏は言う。

守秘義務契約を理由に企業名の公表を控えたルー氏によると、多くの欧州企業幹部は、中国が省をまたいで大規模なAI導入を調整する仕組みを理解し、その教訓を本国でどう応用できるかを探ろうとしている。「彼らは本当に謙虚に学ぼうという姿勢でここに来ている」

ただ、一部の業界関係者は、過大評価に警鐘を鳴らす。

テック・バズのマー氏は「依然として中国以外のテクノロジー企業が世界市場シェアの大半、最も先進的な知的財産、そして最大の利益を握っている」と指摘する。

それでも、米中の技術摩擦が激化しているにもかかわらず、米国からの訪問者を含め、「テック巡礼者」の流れは強いままだ。

深センを拠点とする米国人製造業コンサルタントのジョシュア・ウッダード氏は「実際に現場で物理的な製品を作ろうとしている人々は、政治のことをまったく気にしていない」と語る。「米国のロボット企業は今も、部品やハードウエアを中国からかなり調達している。米国だけですべてできるかのように装っているが、完全にデカップリング(切り離し)するのは非常に難しい」

深センの存在感
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