こうした期待が膨らむ一方で、「バイオセキュリティー(生物安全保障)」に関する議論も活発化している。
バイオ医療研究はAIの活用で大きく変わる可能性があるが、強力な安全対策と監督は引き続き不可欠だと、AI・成長戦略企業のコンセプツ・イン・サクセスの創業者でCEOのジョシュア・エストリンは本誌に語った。「AIの導入で研究者が検討できる仮説の数は劇的に増えるだろうが、実験室での厳密な検証、臨床的な証拠、人間の説明責任が求められることに変わりはない」
悪用を防ぐ施策が必要
エストリンはAI活用の利点を認めつつも、バイオ医療分野のAIは「一般の消費者向けソフトウエアと同じ基準で管理することはできない」とクギを刺す。「ミスや悪用がはるかに重大な結果をもたらし得るからだ」
「責任あるイノベーション」の条件として、エストリンが強調するのは「開発プロセスの初期段階から安全性、履歴確認、人間による検証を組み込むこと」だ。科学者たちは今回の研究成果を、医療の新時代を切り開く大きな一歩と位置付けている。だが生物システムを設計するAIの能力が高まれば、制御不能のバイオハザード(生物学的な危険)のリスクが高まることも否めない。
BBCによれば、ジョンズ・ホプキンズ大学健康安全保障センターのトム・イングルズビー所長らも今回の発表を受けてバイオハザードへの懸念を表明し、病気を引き起こす可能性があるウイルスの開発を「追求すべきではない」と警告を発したという。
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