耐性菌対策の切り札?
研究ではまずAIモデルがウイルス、細菌、植物、ヒトの遺伝データを大量に学習。その後、研究チームがAIモデルにファージを設計させた。
ファージは人間に感染するウイルスと違って、細菌を標的にする。科学者たちはこの数十年間、細菌感染症の治療で抗生物質を代替もしくは補完する治療法として、ファージを利用した治療法(ファージ療法)を研究してきた。薬剤耐性菌が公衆衛生上のグローバルな脅威となるなかで、ファージ療法への関心は高まっている。
これまでファージ療法開発の手ごわい障害となってきたのは、治療したい病気に適合するファージを見つけ出すことの難しさだった。自然界に存在するファージの多くは、攻撃の標的とする細菌の種類が極めて限られている。ある病気に有効なファージでも、別の病気には効かない場合があるのだ。
その点、AIを活用して特定の細菌を標的にするファージを設計したり、特定したりできれば、ファージ療法の開発を加速させられる可能性がある。
そうなれば、既存の抗生物質が効かなくなった感染症への対応を迅速化できるかもしれない。このアプローチは、抗生物質に対する耐性を獲得した薬剤耐性菌への対抗策として、ことのほか大きな意味を持つだろう。
「これは合成生物学の歴史における重要な節目と言える」と、ヒューストン・メソジスト病院のスティーブン・ウォン教授は本誌に語る。「ただし、まだ初期の概念実証の段階にすぎない」
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