Tomo Uetake

[東京 4日 ロイター] - 日本生命保険の石田大輔・執行役員財務企画部長は、ロイターのインタビューで、足元の金利上昇は世界的なファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を反映したもので、日本の財政懸念が主因ではないと指摘した。また日本の超長期国債について、ここまでの金利上昇により投資妙味が高まっているとした上で、来年度にかけて金利は横ばい圏で推移するとの見通しを示した。

インタビューは3日夕方に実施した。主なやり取りは以下の通り。

──日本では今週に入って長期金利が30年ぶりに3%の大台に乗った。世界的にも金利上昇が進む。どう分析するか。

「金利はオーソドックスに、景気とインフレ、あとは金融・財政政策で決まるとの考えだ。まず景気は、日本も米国も着々と成長しており、これが金利を支えている。次にインフレの状況だが、新型コロナのパンデミックの時に高進し、さらに中東情勢悪化を受けた原油高により、ずっと高い状態が各国で続いている」

「財政懸念という話がよく出されるが、それよりもやはり、景気が底堅いことと高インフレ継続をめぐる懸念から金利が上昇基調を辿っているというのが基本だ」

「直近の金利上昇については、我々も含めて多くが、中東情勢はそのうち収束してホルムズ海峡も再開し、原油価格も元に戻るとの見方をしていたものが、その後終わりが見えない状況となってしまった。そこが懸念されてのことと考える」

──「骨太ショック」とか、財政警戒感から日本発の金利上昇とか指摘する声もある。

「AI(人工知能)ブームはグローバルな現象で、各国の設備投資や生産を押し上げている。また中東情勢からくる原油高も世界各国で影響が出るものだ。これらのグローバル要因でほぼ説明できる、ファンダメンタルズで想定される範囲内の金利上昇とみている」

「財政については、高市(早苗)政権は『責任ある積極財政』を掲げており、積極財政により景気を持ち上げ、結果として税収が入ってくると説明している。財政規律が大事だということは大前提で、政権が金融市場の懸念を気にして払拭に動くことも大事だとは思うが、我々としては正直、あまり財政に懸念を持っているわけではない。財源の手当てだったり財政規律は当然守ってもらえると期待している」

「もちろん財政が発散するとか、債券の買い手がいない、財政当局に打つ手がないとかであれば話は別で、金利が糸の切れた凧のように上がっていく可能性もある。だが現状の金利水準では国債に対する需要もそれなりにあり、少なくとも今はそういうことを心配するフェーズにはなっていない」

──日銀の金融政策と金利の見通しは。

「次の利上げは、年度初には10─12月期と予想していたが、少し前倒しになると見方を変えており、今月行われて不思議はないとみている。その次についてはあまり急がないとみていて、四半期ごとに上げるとかでなく、来年度にかけて状況を注視しながら判断すると想定している」

「ターミナルレートは結構幅のある概念だと思っているが、我々としては、2%を超えてどんどん利上げとの想定は置いていない。1%台後半というところではないか」

「金利見通しは、中東情勢の長期化を受けて従来のリスクシナリオに寄せる形で、年度初の予想から徐々に引き上げた。春先には今年度末の10年金利を2.4%とみていたが、現在は2%台後半、ほぼ3%に近いところを想定している(3日時点は2.97%)」

「(主な投資対象である)30年国債の利回りは、10年債とのスプレッドは変わらないとの見方から、年度末、さらに来年度まで見据えても現状(同4.08%)程度のところを見込んでいる。もちろん上がり得るシナリオはいくつもあるが、そうなった時には発行量の調整などが考えられるため、イールドカーブがどんどん立つようなことは想定していない」

──国債投資の考え方は。

「これだけ金利が上がっているので、日本国債には妙味がある。買っていい時間帯が近づいてきている。今はまだ金利上昇トレンドがきれいに出ているので、なかなか金利上昇を止めるような買い方はできないと思うが、コツンと(金利上昇が止まる気配が)来たらというのを皆が待っていると思う」

「債券の利回りだけでみると、投資したい人は増えているのではないか。円債と外債を主軸にやっている生保などは日本国債がいい、国内で十分リターンがとれるというところも増えていると思う」

「一方で当社のように色々な資産に広く分散している生保の場合、相対的な期待リターンやリスクをみながらポートフォリオを組む中で、今のところは日本国債よりも流動性プレミアムがのったプライベート・クレジットの方がどちらかというと魅力的と判断して投資を続けている状況もある」

「外債については、10年前には米国債やドイツ国債といったソブリン債の残高が10兆円を超えていたが、過去10年くらいはクレジットの方にシフトさせたこともあり、もう淡々と減らしている。残高は既に数兆円にまで縮小していることから、ここから米国債をさらに減らすということはない」

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