こうした取り組みは、リハビリ分野全体で広がる大きな潮流を反映している。スマートフォンやウェアラブルセンサーを活用し、患者の動作分析や評価の自動化、診察の合間の回復状況のモニタリングにAIを導入する動きが急速に進んでいる。
リハビリの専門家によると、AIを使えば患者の回復状況を継続的にデータで把握できるため、より的確な治療が可能になる。同時に、療法士が患者に直接向き合ってケアする時間を増やすことにもつながるという。
米国のリハビリ専門病院「シャーリー・ライアン・アビリティラボ」の研究者らは、脳卒中患者のリハビリ向けウェアラブルシステムを開発した。小さな絆創膏ほどの大きさのワイヤレスセンサーを患者の皮膚に直接貼り付けるもので、歩行能力や腕の動き、バランス、転倒リスク、嚥下機能、発話パターン、歩数、睡眠の質、心拍数など、回復を示す重要な指標を継続的に測定する。
こうしたデータをリアルタイムで収集すれば、入院中だけでなく退院後の日常生活も含め、患者がどのように回復しているかを把握できる。医療従事者が適切なタイミングで必要な介入を行い、より患者に合ったリハビリを提供することにつながる可能性がある。
同施設でテクノロジー・イノベーション部門の科学責任者を務めるアルン・ジャヤラマンによると、AIによって、これまで専門的な研究施設でしか得られなかった知見も得られるようになっている。「運動機能障害の理解や回復経過の予測、患者ごとの治療計画の策定などに活用されており、理学療法だけでなく、発話や嚥下、認知機能のリハビリにも広がっている」とジャヤラマンは述べる。