Naomi Rovnick Lawrence White David Milliken
[ロンドン 2日 ロイター] - 英国の銀行が、高金利ストアカードや車両リースに関連したローンなどリスクの高い資産をイングランド銀行(英中央銀行、BOE)への担保として差し入れる動きを強めていることが、ロイターがBOEの資料を精査した結果、明らかになった。
データによると、8月18日に実施された6カ月物資金供給の毎週のオペで、銀行はBOEが最もリスクが高いと分類する担保を19億ポンド差し入れた。2020年3月以来の高水準で、前週の3倍に達した。
ロイターが算出したところによると、BOEの帳簿上に計上されている、インデックス長期レポ(ILTR)オペで受け入れた「レベルC」担保は合計約178億ポンド。1年前の87億ポンドから増加し、24年半ばの10億ポンド弱と比べて大幅に膨らんだ。
BOEがリスクが高く流動性の乏しい可能性のある資産に相当のエクスポージャーを抱えていることが浮き彫りになった。対照的に、中銀の「お墨付き」がリスクの高い証券への需要を高め、危機時に売却が困難になる恐れがあるとの懸念から、欧州中央銀行(ECB)はここ数年、適格担保の基準を厳格化している。
BOEの報道官は、ILTRは金融機関が幅広い資産を担保として利用できるよう設計される一方、BOE自身は堅固なリスク管理で自らを守れる仕組みになっていると説明した。
<ECBが認めない資産も受け入れ>
英国の商業銀行はBOEの口座に預け入れた資金をホールセール取引に利用している。ILTRを通じてこの資金を調達する動きが強まっているのは、2009─21年に実施し金融システムに資金を大量供給した8950億ポンド規模の量的緩和を反転させるとの22年のBOEの決定がもたらした、想定通りの結果と言える。
ロイターがBOEのレベルC担保リストを分析したところ、住宅ローンの将来の支払いを組成して販売する商品など、ECBが担保に関するより厳格な規則の下で認めていない各種の商品を、BOEは受け入れていることが分かった。
住宅ローン担保証券やその他ローンの証券化は、融資債権を素早く売却できるようになった貸し手のリスク志向を助長することで、08年の金融危機の主要な要因となった。
英国立経済社会研究所の客員研究員でBOEの元マネーマーケット部門責任者、ウィリアム・アレン氏は「BOEがグレードC資産を受け入れたいと考えるそれなりの理由があるが、あまりにも多く手掛けるようだと不適切な融資を助長するリスクがある。BOE側もそれは既に恐らく理解しているだろう」と語った。
BOEの報道官は、リスク許容度の目標との整合性を保つため、枠組みを継続的に見直していると述べた。
BOEはリスクの高い資産に対しては、より高い金利を課すと共に、より大きな「ヘアカット」を適用しており、損失回避のため資産の額面より小さい金額しか貸し出さない。
過去1年間、レベルC担保はILTRで受け入れられた担保の5分の1から4分の1を占めてきたが、同ファシリティーの利用拡大に伴い絶対額では倍増している。
バークレイズの債券アナリスト、モイーン・イスラム氏は「プライベート市場で信用への需要が低下しているため、こうした資産のBOE以外の市場は以前ほど活発ではない可能性がある」と述べた。
世界のプライベートクレジット業界は3兆5000億ドル規模に達し、高利回りをうたい文句に近年急速に拡大してきたが、数々の悪材料や大型の損失事例を受けて規制当局の監視も強まっている。
<住宅ローン、車両リース、ストアカードが担保に>
インベステック関連のテメセ・ファンディングが発行するローンノートもBOEのレベルC担保リストに掲載されているが、S&Pグローバルによると、この資産はバルーンペイメントと呼ばれる、期末に大口の支払いが設定された重機・車両リースを裏付けとしている。
法律事務所ジョーンズ・デイの分析によると、ECBは今年1月、こうした商品を事実上、適格担保プールから除外した。
BOEは、レベルCリストに掲載された資産のうちどれが実際にILTRで担保として利用されたかについては明らかにしていない。
公開資料によると、ハーベン・ファイナンス発行の証券もBOEのレベルCリストに含まれる。ハーベンは、バークレイズの傘下にあり、08年の政府による救済前に旧英銀ブラッドフォード&ビングリーが組成した賃貸用住宅ローンの返済金を保有している。この債券の一部トランシェはこの1年でフィッチ・レーティングスに2回、S&Pグローバルに1回、格下げされた。
BOEのオペで担保として受け入れ対象となるその他の資産には、KKRが出資するニューデイのクレジットカードを裏付けとするローンノートや、24年にスモール・ビジネス・オリジネーション・ローン・トラストが発行した債券が含まれる。フィッチ・レーティングスによると、前者はリスクの高い借り手を対象としたもの。後者はファンディングサークルの金融プラットフォームを通じて借り入れた企業経営者からの返済金をパッケージ化して販売するものだ。
S&Pグローバルは8月21日付のリポートで、ファンディングサークルの債権プールに含まれるローンの約5分の1がデフォルト(債務不履行)に陥る可能性が高いとの見方を示した。ファンディングサークルの広報担当はコメントを控えた。