Takahiko Wada Takaya Yamaguchi
[1日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は米国時間1日、米ノースカロライナ州アッシュビルで開かれた20カ国(G20)財務相・中央銀行総裁会議後に記者会見し、ベセント米財務長官と8月30日に会談し「さまざまなテーマについて有益な議論を行うことができた」と語った。一方で「詳細はノーコメント」と述べるにとどめた。
米財務省は同日、ベセント財務長官が植田総裁との会談で、インフレ期待を安定させるための取り組みについて協議し、インフレ期待を安定させ、過度な為替変動を回避するための健全な金融政策を求めたと明らかにした。
植田総裁は米財務省の公表文についてもコメントを控えた。他国の当局者が日銀の金融政策に注文を付ける異例の事態になっているが、「コメントするかしないかはそれぞれの判断だ」と話すにとどめた。
G20での議論を振り返り、植田総裁は、世界経済を取り巻く環境が変化するもとで「物価安定の確保に向けた適切なコミュニケーションの重要性について各国間で議論を交わした」と述べた。ただ、「非常に抽象的・一般的な話で、現在の日本でどうかということについて議論したわけではない」と説明した。
為替変動については、7月の展望リポートで挙げた物価上振れリスクの1つの要因であり、為替の動きにも注意していく必要があるとした。
片山さつき財務相は、先の協調介入はG7などの国際合意に基づくものだとし、G20は理解を得るいい場になったと話した。
<物価見通しや上振れリスクの判断、「次回会合で議論」>
市場では、日銀が今月の金融政策決定会合で利上げする可能性をほぼ織り込んでいるが、植田総裁は市場の織り込み度合いへのコメントは控えた。
総裁は、7月の展望リポートや7月の決定会合後の記者会見で示した見通しに「だいたい沿った経済データが出ている」と指摘。政策対応の考え方をG20会合での議論を踏まえて何か大きく変えたことはないとした上で、政策調整のタイミングやペースは中東情勢、AI(人工知能)関連の動向、為替変動を特に重視しつつ、経済・物価の中心的見通しの実現する確度とリスクを点検しながら検討すると改めて説明した。その上で「次回会合を含め、毎回の決定会合でしっかりと議論していきたい」と述べた。
7月会合以降、物価見通しの確度や上振れリスクが高まったかどうかについては「次回MPM(金融政策決定会合)でボードメンバーと議論して判断したい」と述べるにとどめた。累次の利上げの影響を「慎重にみていきたい」とも話した。
基調的な物価上昇率は「かなり2%に近くなってきている」とし、基調物価を「スムーズに2%に着地させ、そこで維持することが非常に重要になってくる」と述べた。
<長期金利、片山財務相「高い緊張感持って注視」>
長期金利は1日、約30年ぶりに3%台に上昇した。植田総裁は長期金利の水準についてはコメントを控えるとする一方で、最近の長期金利の上昇は「グローバルな金利上昇につれたもの」と話した。引き続き金利動向をしっかり見ていきたいとした。
片山財務相は、長期金利上昇について「特定の水準にはコメントしない」と明言を避けた。一方、高い緊張感を持って市場動向を注視しているとの認識を示し、国債管理政策に万全を期す考えを強調した。