その後、23年10月のハマスによる攻撃を機に史上最長となるパレスチナ自治区ガザでの軍事作戦を実施し、イランとの戦争も経験した。
国会では解散直前の今年7月、超正統派の兵役問題や高等教育における男女別学、政府と検事総長の権限関係など、国内を二分する法案が相次いで駆け込み採決された。波乱の4年間を経て、イスラエルでは国家像の在り方をめぐる対立が再び表面化している。
先行きは決して明るくはない。イスラエルでは多くの世俗・リベラル派が民主主義や男女同権などの価値観を通じて、自国を「西側」の一員と位置付けてきた。
しかし現在、自国の民主的統治の将来を楽観する人の割合は40%に低下。宗教と国家、司法の独立、男女平等、兵役負担の公平性をめぐる対立は、イスラエルがリベラルな民主主義国家を維持できるのかという根本的な問いを突き付けている。
ただし、政権交代すればイスラエル国内と中東が安定すると考えるのも早計だ。不安定な国内政局が戦争における意思決定にも大きな影響を及ぼしており、イスラエルが中東における不安定化要因だという見方も過去4年間の混乱を経て強まっている。
中東各地で軍事作戦を展開した一方で、自国の安全保障の将来を楽観するイスラエル人も34%にまで落ち込み、かつてないほど国内は内向きになっている。国民の不安の解消や国内の分断の修復、そして外交的に孤立し国際社会で傷ついた国家の評価回復など、次期政権には難題が待ち受ける。だが、政権が安定する保証もない。