[ロンドン 12日 ロイター] - オマーン環境庁は13日、オマーンのドファール県沖で座礁した原油タンカー「キャロライン・ベゼンギ」号から漏れ出した大量の原油が沿岸に到達し始めたと確認した。同タンカーは制裁対象になっているロシア産原油を積載していた。流出した原油は対応がなされないまま数週間にわたり拡散しており、近年で世界最悪級の海洋汚染事故の1つになる恐れがある。

キャロライン・ベゼンギ号は推定80万バレルのロシア産原油を積載しイエメン沖を航行していた際、6月8日に航行上のトラブルを報告。海事関係者はこの報告の前に爆発と見られる事象があったとしている。その後、6月30日に座礁した。同タンカーを攻撃したと表明した主体はまだない。

ロイターが入手した衛星画像を分析した原油流出事故対策の専門家、ジョン・エイモス氏によると、油膜はすでに2000平方キロメートルを超えて拡散している。流出した原油はザトウクジラなどの生息域になっているオマーンの海洋自然保護区に属する島の周辺海域に広がっており、オマーン環境庁はラス・マドラカ周辺の約40キロメートルの海岸線のほか、マシラ島などにさらに拡大する恐れがあると警告している。

キャロライン・ベゼンギ号は制裁対象のロシア産原油の輸送に関与するいわゆる「影の船団(シャドーフリート)」に属するタンカーと見られており、4月にロシア南部クラスノダール地方の黒海沿岸の主要港ノボロシースクを出港。船舶追跡データによると、5月末にスエズ運河を通過した後、イエメン沖を航行していた。

キャロライン・ベゼンギ号は建造から25年が経過しており、西側の公認保険会社による保険に加入していない。タンカー事故による損害賠償を扱う政府間機関の国際油濁補償基金(IOPCファンド)はロイターに対し、この件は海難事故ではなく「戦争行為(act of war)」として扱われるため、補償の対象外になるとの見解を示した。

非営利団体スカイトゥルースの最高経営責任者(CEO)で、流出油問題の専門家でもあるジョン・エイモス氏は「船体が風や波による継続的な負荷を受けてさらに損傷し、最終的には積み荷全量が流出する恐れがある。その場合、流出量は4000万─5000万ガロンに達する可能性がある」とし、実際にそうした事態になれば、1989年に発生した「エクソン・バルディーズ号」原油流出事故に匹敵する大きさになる恐れがあると述べた。

国際海事機関(IMO)の報道官はこれに先立ち、原油流出への緊急対応計画はすでに策定されていると述べていた。季節的なモンスーンの影響で同タンカーへの接近が制限され、引き揚げ作業が遅れているという。

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