認知症予防は長年、最富裕国の研究を指針にして、リスク要因をひとくくりにする傾向がある。だが7月、学術誌ランセット・ヘルシーロンジェビティで発表された新たな研究によれば、どの国でも使える手法ではなさそうだ。

「疾病予防は画一的ではあり得ない」と、内科医のジョン・ラプーマは本誌に語る。

南カリフォルニア大学とブラウン大学、ジョンズ・ホプキンズ大学が共同で実施した今回の研究が指摘するように、修正可能な認知症危険因子のうち、どれが最も一般的かは国によって大きく異なる。つまり、ある国向けに策定された認知症予防戦略は、別の国では大失敗に終わりかねない。

研究では、国際的プラットフォーム「ゲートウェイ・トゥ・グローバルエイジングデータ」が2009~23年に収集した高齢者21万4251人のデータを分析。アメリカ、イングランド、韓国、メキシコ、中国、インドなど、14カ国・地域を対象にしている。

検証したのは、英医学誌ランセットの専門家委員会が特定した修正可能な認知症危険因子14項目のうち、難聴や鬱、運動不足、社会的孤立などの12項目だ。それぞれの危険因子の世界的な共通度、年齢・性別・教育による差異、同一人物に複数の危険因子が同時に認められる頻度を比較した。

最も一般的な危険因子は、国によって大きく異なっていた。教育歴の短さがリスク要因になっている高齢者の割合は、中国では85.6%に達したが、アメリカはわずか12%だ。肥満の場合、アメリカでは44.9%に上るが、インドは13.3%だった。

国境を超え、一貫して同時に出現する特定の危険因子
【関連記事】