[シンガポール 27日 ロイター] - シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)は27日、市場の予想に反して金融政策を引き締めた。中東紛争によりエネルギーコストの上昇圧力が続く中、根強いインフレリスクを理由に挙げた。

シンガポールドル名目実効為替レート(SドルNEER)として知られる為替レートベースの政策バンドの実勢上昇率(傾き)をごくわずかに引き上げると表明した。政策バンドの幅と中心値の水準に変更はないとした。

ロイターが政策決定に先立ち実施したエコノミスト調査では、16人中12人が政策の据え置きを、4人が引き締めを予想していた。

MASは前回4月の会合でも政策を引き締めた。今回の傾きの引き上げ幅は4月よりも小さいとしている。

MASは「コアインフレ率は7月以降加速して高止まりする見通しだが、2027年半ばごろからは明確に鈍化するはずだ」とした。

発表を受け、シンガポールドルは対ドルで小幅に上昇した。

メイバンクのエコノミスト、チュア・ハクビン氏は、MASが傾きを「ごくわずかに(very slightly)」調整したのは今回が初めてだとし、24年1月に開始した現行の四半期ごとの会合形式の下で、今後は傾きを小刻みに調整する可能性があると指摘。「MASはエネルギー価格の上昇や供給の混乱による潜在的なインフレ圧力に先手を打っている可能性がある」との見方を示した。

オックスフォード・エコノミクスのエコノミスト、シーナ・ユー氏は、今回の政策変更は「物価安定へのリスクが強まった場合に対応する柔軟性を保ちつつ、中期的なインフレ圧力を抑制する」のに役立つと述べた。

<「大きな不確実性」>

MASはマクロ経済見通しには「大きな不確実性」があるとし、「エネルギー価格が再び急騰すれば、インフレは想定より強く加速する可能性がある。燃料備蓄は大幅に取り崩されており、中東で供給が再び混乱すれば原油価格が急上昇しかねない」と述べた。

また、堅調な投資の伸びが海外や国内でより大きな需要の波及効果を生み出せば、インフレは予想よりも根強くなる可能性があると指摘。同時に「予想外の金融環境引き締めやAI関連投資の縮小」など、経済成長率に影響しインフレを鈍化させる下振れリスクにも言及した。

6月のコアインフレ率は前年同月比1.6%と、市場予想を下回った。第2・四半期の国内総生産(GDP)速報値は前年同期比5.7%増と、予想を上回る伸びを示した。

OCBCのエコノミスト、セレナ・リン氏は、総合インフレ率とコアインフレ率が今後数カ月でそれぞれ前年比2.5%、2.3%前後まで上昇すると予想し、2%を下回るのは27年後半以降になるとの見通しを示した。

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