Takahiko Wada
[東京 24日 ロイター] - 日銀は30―31日の金融政策決定会合で、政策金利を1%で据え置く見通しだ。6月の前回会合で半年ぶりに利上げを決めており、その影響を見極める。決定会合で議論する「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では、基調的な物価上昇率が目標の2%に迫る中、物価上振れリスクに改めて警戒感を示した上で、今後も利上げを継続していく方針を示す見通し。
展望リポートでは、経済見通しを小幅に引き上げる一方で、物価見通しは前回4月と大きくは変わらないとみられる。4月の展望リポートで示した政策委員の見通し中央値は、今年度の実質国内総生産(GDP)が前年度比0.5%増、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)が同2.8%上昇だった。
日銀では、中東情勢の緊迫化で重要物資の代替調達が進んだ結果、経済の下振れリスクが後退する一方、AI(人工知能)関連需要の強まりが経済を下支えするとみている。
物価については、4月の展望リポートでの「物価上昇率が大きく上振れていくリスク」との表現は修正される見通し。4月会合時点では、中東情勢の緊迫が長期化する中で原油など重要資源の供給途絶が起きれば原油価格が急速かつ大幅に上昇するリスクも意識されていたが、日銀では、その後に代替調達の動きが進んだことで、そうしたリスクは後退しているとの見方が多い。今回は、4月に想定したテールリスクに代わって、原油などの代替調達コストやAI関連需要の高まり、為替円安による物価上振れリスクが強調されるとみられる。
足元では、米国とイランの戦闘終結合意で大きく下落した原油価格が戦闘の激化で再び上昇に転じているが、日銀では原油市況の前提は4月展望リポート時点と大きくは変わらないとの声が出ている。市況の動向を決定会合直前まで見極めた上で、見通し数値に反映する。
日銀は基調物価が2%目標と整合的な水準に到達する時期を「26年度後半から27年度」としてきた。基調物価が2%に迫る中で、政策調整の観点からは物価上振れリスクの動向がより重要になってくる。展望リポートでは、物価目標の実現に向けて基調物価が2%程度で「定着」するかどうか確認していく必要性に改めて言及した上で、物価上振れリスクへの警戒感を引き続き示すとみられる。
内田真一副総裁は6月の決定会合後の記者会見で、基調物価について「だんだんと2%に近づいてきている中で、上振れリスクを意識しなければならなくなってきている」と述べている。
外為市場ではドル/円が40年ぶりに163円に乗せた。日銀では、円安傾向はすでに予想の前提に入れているとして、物価上振れリスクがここに来て急速に高まっているわけではないとの声もある。一方で、政策金利を31年ぶりの高水準となる1%まで引き上げてきても、金融環境はなお緩和的だとの指摘は多く、リスク要因の帰すう次第では、市場が予想する半年に1度より短い間隔で利上げすべきとの声も聞かれる。
日銀は市場動向を決定会合直前まで見極めた上で政策を最終判断する。