Helen Coster
[ニューヨーク 16日 ロイター] - 米3大テレビネットワークのうち2社とCNNは、16日夜のトランプ大統領による国民向けの演説を主要チャンネルで放送しなかった。米メディアに前例のない圧力をかけてきたトランプ氏の反発を招いた。
中間選挙を4カ月後に控え、演説は選挙の安全性に焦点が当てられた。
トランプ氏はこの中で、演説を放送しなかったテレビ局は「陰謀」に加担していると述べ、放送免許を剥奪すべきだと主張した。
「異例な事態だが、NBCとABCのフェイクニュース局は共に、この演説を報道しないと表明した」とし、「このような不正行為は、免許剥奪につながるべきだ」と述べた。
専門家によると、放送局は憲法修正第1条により、放送内容を決定する幅広い権利を有している。ただ、国民に重要な情報を提供するとの理由から、歴史的にこうした演説の大半を放送してきた。
ABCニュースの広報担当者はこれに先立ち、トランプ氏の演説を放送チャンネルではなく、ストリーミングサービス「ABCニュース・ライブ」と「ABCニュース・ラジオ」で流すと明らかにしていた。
NBCニュースも無料ストリーミングサービス「NBCニュースNOW」で演説を配信する計画だが、放送チャンネルでは流さないと事情に詳しい関係者が述べた。同社はコメントを控えた。
CNNは声明で、演説をニュースとして注視し、自社サイトと有料ストリーミングチャンネル「CNNオールアクセス」でライブ映像を流すとしていた。
ABCとNBCのストリーミングチャンネルの視聴者数は通常、従来の放送波のごく一部にとどまる。また、CNNのデジタルネットワークは有料サービスで、通常のケーブルチャンネルより視聴者数は少ない。
ホワイトハウスのレビット報道官は演説に先立ち、記者会見で、トランプ氏が演説の冒頭でイラン情勢や経済に触れる可能性が十分にあるとした上で、幅広い話題に言及するかもしれないと説明。それこそが各局が演説を生放送し、米国民が視聴すべき「一層の理由」だと語った。
トランプ氏は演説で、米国が勝利しつつあるとする米・イスラエルの対イラン攻撃について短く言及し、米経済はかつてないほど好調だと述べたが、主に選挙の安全性に関する主張に焦点を絞った。
トランプ氏は長年にわたり選挙結果への疑念をあおり、2020年大統領選で民主党のバイデン氏に敗れた選挙結果を不正だと根拠なく主張してきた。また、郵便投票は不正が横行しており、投票機は操作されやすく、非市民による投票が広範に行われていると証拠を示さずに訴えている。
オカシオコルテス下院議員ら一部の民主党議員は、トランプ氏が反証済みの主張を繰り返す可能性が高いとして、各局に演説を放送しないよう求めていた。
3大ネットワークのうち残るCBSは、通常番組を中断して演説を放送したが、放送に先立ちアンカーが、想定される内容に対して事前に反論を行った。「率直に言って、大統領がこの問題について発言してきたことの多くは事実ではない」と述べた上で、同局が生中継する理由について「演説はニュースになるもので、ニュースを報じるのがわれわれの仕事だからだ」と説明した。
同局は放送開始から約15分後に中継を打ち切り、選挙不正に関するトランプ氏の主張の誤りを指摘した。
FOXニュースはトランプ氏の演説を生中継し、ニューヨーク市など一部の地方系列局も番組を放送した。