Arathy Somasekhar Brad Brooks Nathan Crooks
[ヒューストン 8日 ロイター] - 米南部テキサス州ヒューストンで7日、移民・税関捜査局(ICE)の捜査員が通勤中の男性を射殺した問題で、第三者による独立した調査を求める声が高まっている。
トランプ大統領が2期目になって進めてきた大規模な不法移民摘発に伴う連邦当局との接触で発生した死亡事案としては、これで少なくとも6件目となった。
射殺されたのはメキシコ国籍のロレンソ・サルガド・アラウホさん。ICEは、サルガドさんが捜査車両にバンを衝突させ、複数回の命令に従わず捜査員をひこうとしたため、捜査員が正当防衛として発砲したと説明した。サルガドさんは不法滞在者で、当局による標的型の摘発作戦の対象だったとしている。
ロイターはサルガドさんの在留資格や発砲時の状況について独自に確認できていない。
トランプ政権が全米で移民摘発を強化しているのに伴って、事情に詳しい関係者の話では、先週には1日当たり約2000人の移民が拘束された。ヒューストンだけでも、6月中旬から下旬にかけてICEによる1週間当たりの拘束者数が約100人と、3倍超に増加したという。
サルガドさんの長男ロナルドさんは8日に開かれた記者会見で、父親について「35年間にわたり建設作業員として働き、家族のために米国での夢を追い続けた」と語り、合法的な在留資格取得に向けた手続きも進めていて取得が近かったと付け加えた。
家族によると、サルガドさんは建設現場へ向かう途中、作業員を迎えに行くため車を運転していた。ロナルドさんは「父の死について全面的な調査が必要だ」と訴えた。
この問題を巡っては、連邦下院議員や中南米系市民の団体、地元当局者らも独立調査を要求。全米ラテンアメリカ市民連盟(LULAC)のロマン・パラレス会長は「公共の安全を名目に、中南米系や有色人種が標的にされている状況を長く見てきた」と批判した。
LULACが立ち上げた調査要求のオンライン署名には、8日昼までに約5万2000人が賛同した。
ICEは、発砲事案については国土安全保障省が調査を主導し、捜査員への襲撃の可能性については連邦捜査局(FBI)が捜査するとしている。
これに対し、野党民主党の地元選出のシルビア・ガルシア下院議員は「独立した調査やボディーカメラの導入、捜査員の身元明示が必要だ」と主張。ヒューストン市のホイットマイア市長も「透明性のある独立した調査」を求めたが、市独自の調査については、連邦当局の調査と重複するとして実施しない考えを示した。
メキシコのシェインバウム大統領は記者会見で「法的地位をまだ得ていなかっただけのメキシコ人が命を落とした」と述べ、メキシコ政府として法的対応を検討していることを明らかにした。
事件発生から8日午後時点まで、発砲の瞬間を捉えた映像は公表されていない。移民摘発事案ではこれまでも当局による当初の説明が映像などの証拠によって覆された例があり、今回も調査の行方に注目が集まっている。