Takahiko Wada Leika Kihara

[東京 8日 ロイター] - 日銀の浅田統一郎審議委員へのインタビューでの主なやり取りは以下の通り。

――6月の金融政策決定会合では利上げに反対した。

「中東情勢については、米国とイランが戦闘終結に向けて合意に達したとはいえ、依然として不透明な状況が続いており、日本経済においても、生産や雇用といった点で下押し圧力が生じる可能性があることを、私自身は少し懸念している」

「消費者物価について、除く生鮮食品およびエネルギーの前年比は、足元で2%を下回る水準となっている。政府による教育無償化政策などの制度要因を除いたベースで見ても、伸び率は少し縮小している。原油価格を見ても、最高値に比べて直近では約30%下落している」

「原油価格上昇を起点とする価格転嫁がやや速いスピードで進んでおり、これが今後消費者段階における幅広い品目の価格上昇に波及していく可能性には留意する必要があると思うが、私自身は引き続きデータを注視し、情勢をもう少し見極めたいと考えている」

「現時点で政策金利を引き上げると景気が鈍化し、せっかく機能し始めた賃金と物価の好循環が阻害されてしまう可能性が少なからずあるだろう」

――日本が再びデフレに戻るリスクも心配しないといけない状況か。

「そう考えている」

――資材価格の高騰の原因の1つには円安の進行がある。金融政策としてはインフレをいかに抑えるかが重要か。

「金融政策も財政政策も為替レートに影響を及ぼすが、金融政策の目標とはしていない。結果的に市場で決まるものと考えている。インフレと雇用については金融政策も配慮している」

――今後、どういう環境が整えば利上げに賛成できるか。

「2%の物価安定の目標の持続的かつ安定的な実現に向けた環境が整うことが、私が政策金利の引き上げに賛成するための大前提になる。また物価目標の実現が、あくまで賃金や需要の増加などの経済の内生的な力によって支えられていることを確認する必要がある」

――望ましい利上げのタイミングやペースは。

「金融政策の決定は、あらかじめ決まったスケジュールに基づいて行われるべきものではない。経済・物価・金融情勢の変化に応じて、機動的に対応しながら、適切に金融政策を運営していくことが必要だ」

――利上げを進めていく方針には反対ではないか。

「その時の経済状況に依存する。いつでも反対というわけではない。今回は反対投票をしたが、常にその時点で状況を見極めて意思を決めようと思っている」

――中立金利について。

「日本銀行が公表した最新の推計値にも相当なばらつきがある。個人的には、足元の日本の中立金利はどちらかというと低い水準にあると考えているが、具体的な水準を示すことは極めて困難だ」

――27年4月から国債買い入れの減額を停止する。

「私自身はストック効果を通じた長期金利の押し下げ効果をなるべく維持する観点で減額停止が妥当だと考えた」

――バランスシートの適正規模は。

「私自身は、成長経済においては中央銀行の名目国債保有額の名目GDP(国内総生産)に対する比率を安定化させる必要があると考えており、現状の約80%という比率をどこまで低下させるべきかを将来的に議論していく必要があると考えている」

「現在のところ、その最適な比率がいくらなのかを申し上げることは適切ではないと思っているが、中央銀行の名目国債保有額の名目GDPに対する比率が妥当と思われる比率にまで低下した後は、名目GDPの成長率にある程度比例する形で日本銀行のバランスシートの大きさを増やし続ける必要があると考えている」

――望ましい財政・金融政策の組み合わせは。

「財政政策と金融政策を適切に組み合わせることで、短期的な景気回復を図りつつ、長期的に持続可能な成長基盤を築くことが日本経済にとって望ましい。金融政策運営にあたっては、日銀法に定められている通り、常に政府と連携を密にし、十分な意思疎通を図ることが重要と認識している」

「政府が進めている成長分野への投資についても、日本経済の成長力強化にとって重要だが、企業の中には、投資の制約要因として、人手不足とともに資材価格などの高騰を指摘する声も多く聞かれる。このことを踏まえると、適切な金融政策運営を通じて物価の安定を実現することが、日本の成長投資の拡大を支える土台としても重要だと認識している」

――日銀について、米中央銀行のような物価安定と雇用の最大化という2つの使命を課すべきと考えるか。

「2013年に黒田総裁の体制下で、アベノミクスの『第一の矢』としてデフレ不況脱却のための金融政策を実施して以来、現在に至るまで、日本銀行は事実上、物価と雇用・生産の両方を視野に入れた施策を行ってきたと考えている」

「当面、日銀法改正までする必要はないと考えている」

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