2008年の大統領選では民主党のバラク・オバマが共和党のジョン・マケインに勝ち、アメリカ史上初の黒人大統領が誕生した
2008年の大統領選では民主党のバラク・オバマが共和党のジョン・マケインに勝ち、アメリカ史上初の黒人大統領が誕生した PATRICK T FALLON-ZUMA-REUTERS

大衆迎合的で白人至上主義的かつ排外主義的な揺れ戻し

③世界への開放性

アメリカ史において、孤立主義と国際主義の長い戦いが続いたことはよく知られている。他の国や大陸の問題はアメリカの問題ではないとする人々と、緊密に結び付いた相互依存の世界では外国の出来事は国内に必ず影響すると考える人々の争いである。

アメリカ史の初期は孤立主義者がおおむね優勢だった。だが第2次大戦以降は国際主義者がほぼ優位に立ってきた。

アメリカが構築と維持に貢献した戦後の「リベラルな国際秩序」は何十年もにわたり相対的な安定をもたらし、大勢の人々を貧困から救い、生活の質を著しく向上させた。

この取り組みでは、アメリカは原動力であると同時に受益者でもあった。「アメリカの強みは人材だ」と言ってもいい。この国では、研究教育や企業経営の場においても、市民社会においても、外国生まれの人材が優れた能力を発揮し、富の拡大と技術の進歩に大きく貢献してきた。

しかし今、真の平等主義に対する反動として、大衆迎合的で白人至上主義的かつ排外主義的な揺れ戻しが荒れ狂い、アメリカは自国の成功の土台を自ら切り崩そうとしている。

門戸を閉ざし、最も生産性の高い働き手を国外に追いやり、友好国や同盟国を遠ざけ、権威主義的な敵対勢力におもねり、ハードとソフト両面のパワーを食いつぶしているのだ。

このままではアメリカがかつて掲げた原則を守る役目は日本やカナダ、オーストラリア、EU諸国、台湾などに託されることになる。だが、これらの国々にはアメリカのような富と力はない。果たしてアメリカに代わってリベラルな国際秩序を守り、世界が支配と抑圧の新たな暗黒時代になだれ込むのを防げるだろうか。

「存在論的な安全保障」の喪失
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