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[ドイルズタウン(米ペンシルベニア州) 29日 ロイター] - 元教師のベッツィ・ハルジーさん(63)は、米東部ペンシルベニア州の実家にある子供時代の部屋に、1976年の米建国200周年の記念品を今も保管している。ただ熱心な民主党支持者のハルジーさんはトランプ大統領に強い反感を抱き、どうしても今年の250周年を祝う気持ちにはなれない。「この国が進んでいる方向に熱狂している人たちと同じ祝いの場にはいたくない」と話す。

一方、近くに住む共和党員でコインランドリー経営者のダン・マラッツォさん(70)は、トランプ氏の下で米国が繁栄していると信じており、友人や家族に料理を振る舞ってこの節目を祝う準備を整えている。

マラッツォさんは「米国で最も貧しい人でさえ、世界の他の地域の金持ちよりも良い生活を送っている」と言い切った。

米国は、1776年7月4日に英国からの独立を宣言してから250年となる節目を控えている。花火やパレード、赤と白の飾りで建国を祝う、伝統的には国民を一つにする夏の行事が、トランプ時代を特徴づけてきた政治的分断によって試されている。

トランプ氏が公式記念行事に自らの色を濃く反映させ、2期目になって移民や経済、外交に二極化をもたらす政策を一層進める中で、多くの米国人が政治と祝典をどう切り離すかに苦慮している。

エール大学で歴史を研究するビバリー・ゲージ氏は「祝うという概念そのものが政治的、党派的になってしまった。今の時代で驚くべきなのは、悲観論が広く蔓延しているように見えることだ」と語る。

ロイター/イプソスの世論調査によると、米国人の5人に1人が今年の独立記念日を祝わないと回答し、その内訳は民主党支持者の4分の1、共和党支持者でも8%に上る。また5人に2人はこの国がさらに250年存続するとは考えていない。

独立記念日について米国人が今、どう感じているかを深く理解するため、ロイターはハルジーさんとマラッツォさんが住むペンシルベニア州バックス郡の住民、活動家、歴史研究者、地元選出議員ら20人余りを取材した。

かつては政治的に注目されない場所だったバックス郡は現在、米国を揺るがす文化的・党派的な亀裂の縮図となっている。重要な激戦州であるペンシルベニア州の中でも一層激しく分断された地域で、2024年の選挙では、投じられた約40万票のうち、トランプ氏がわずか300票足らずの差で制した地域だ。

<トランプ氏刻印の金貨>

トランプ大統領は、建国記念の祝典の中心に自らを据えている。政権は昨年、記念行事を企画する官民連携組織「フリーダム250」を設立した。議会認可の委員会「アメリカ250」が何年も前から行事計画に取り組んでいたにもかかわらずだ。

フリーダム250の目玉行事は、首都ワシントンのナショナル・モールで2週間にわたって開催される「グレート・アメリカン・ステート・フェア」だ。トランプ氏はこのフェアの開幕に際して選挙集会さながらの演説を行い、7月4日にも再び演説を予定しており、国民の祝典を政治利用しているとの批判を招いている。

民主党系の複数の州と多くのアーティストが、フェアとトランプ氏の結びつきが強すぎるとして参加を拒否した。一方で、米造幣局はトランプの肖像を刻んだ建国250周年記念金貨の発行を計画している。

バックス郡のタビサ・デルアンジェロさん(56)は、トランプ氏の下での国の行く末に非常に失望し、例年行っている7月4日の祝いを計画していないという。

大学教授で以前に民主党の教育委員を務めたデルアンジェロさんは「私は自分の国を愛している誇り高き米国人だ。だが今回のお祝いは米国についてではなく、トランプ氏を称えるようなものに感じている」と語った。

バックス郡内の古風な川沿いの町や森に囲まれた住宅地、農地の中には、国内で最も有名な独立戦争の史跡が幾つかある。しかし同郡は、根拠のない選挙不正疑惑や本の禁止を巡る争い、学校で教える米国史の内容を巡る抗議によっても引き裂かれてきた。

取材した住民からは、国民的アイデンティティーや共有された歴史という伝統的なテーマがあるにもかかわらず、この祝日が地元や国家の分断に対する懸念を和らげる役にはほとんど立っていないとの声が聞かれた。

多くの米国人が突き付けられているのは「国を1つにまとめる原則はまだ存在するのか。それとも党派心が有権者をあまりに分断し、愛国心よりも政党を優先させるようになってしまったのか」という核心的な問いだ。

トランプ氏支持者でヘルス・クラブの経営者であるジム・ワーシントンさん(69)は、なぜ人が250周年のお祝いに参加しないのか理解できないとの思いを明かした。大統領が誰であれ、米国が長く存続してきたことは称えるに値する驚異だと信じているからだ。

ドイルズタウンで民主党の評議員を務めるコナー・オハンロンさん(30)は、自分たちの世代が成人してからずっと、「国の行く末に対する全般的な虚無主義と冷笑主義」を特徴とする党派対立の時代を生きてきたと指摘。それでも彼は、米国人が7月4日を共通の信念を振り返る機会にすべきだと考えている。

ただ、近隣住民の中には、そうした信念がなお多く残っているのか疑う人もいた。ドイルズタウンの活動家で作家のドリーン・ストラットンさんは、高祖父が1776年当時にフィラデルフィアに住んでいた数少ない自由身分の黒人住民の1人だった。

だがストラットンさんは現在、特に米国の黒人にとっての長年の進歩が、少数派に対する公民権保護の一部を撤回したトランプ政権下で停滞しているのではないかと危ぶんでいる。

「今年の独立記念日については、まるで喪に服すような気分だ」と語った。

こうした分断された感情により、7月4日の行事を主催する地元関係者は難しい課題に直面している。祝典を催しながら、多くの住民を遠ざけないようにするにはどうすればよいか、という問いだ。

ペンシルベニア州ニューホープと隣接するニュージャージー州ランバートビルで祝典を主催する非営利団体「アメリカ・セレブレーツ」のディック・クリーター氏は、プログラムが非党派的であることを確認する問い合わせを数人から受けたという。

クリーター氏は「政治的立場にかかわらず、建国250年の祝典を受け入れずにやり過ごすのは誤りだ」と訴えた。

<歴史をいかに語るか>

歴史家たちは、過去の節目の記念日もまた、激動の時代に重なっていたと指摘する。1876年には、10年前の南北戦争の傷跡がなお癒えておらず、1976年にはベトナム戦争とウォーターゲート事件が政府への信頼を大きく損なっていた。

エール大学のゲージ氏は「自分が生きている歴史的瞬間を正確に評価することは難しい」と語る。「米国が最も深刻な危機に陥った時代の後には、最も深い変革の時代が続いた、という歴史がある」と述べた。

バックス郡のワシントン・クロッシング歴史公園にある石碑は、1776年にここで何が起きたかを訪れる人々に思い出させる。初代大統領となったジョージ・ワシントンがクリスマスの夜の吹雪の中、デラウェア川を渡って軍を率い、ニュージャージーにいた英国側のドイツ兵に奇襲を仕掛けて戦況を一変させた場所だ。

250周年に向けて、同公園を運営する非営利団体の事務局長、ジェニファー・マーティン氏によれば、公園は来園者からの問い合わせに応える形で、独立戦争への女性、黒人兵士、民間人の貢献についての調査研究を行ったという。

マーティン氏は、自分たちのアプローチは常に政治とは無関係であることを強調し、「正確な物語を伝えることが重要であり、政治状況が歴史の語り方に影響を与えることを許してはならない」と付け加えた。

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