もっとも国際社会におけるアメリカの覇権的な地位にこだわりを見せないのは、トランプだけではない。こうした感覚はアメリカ社会全体でますます共有されつつある。
カーネギー国際平和財団が25年に実施した世論調査によると、6割近くのアメリカ人は自国の影響力や国際的地位の低下を感じ、自国を「世界で唯一の超大国」ではなく、「複数ある有力国の1つ」と見なしていると回答した。
台頭する中国については、約3分の2が中国の国力はアメリカと同等かそれ以上であると回答し、約4分の3が将来的に中国がアメリカを追い抜くと予想した。特に技術分野では、中国が既にアメリカより優位にあるとみる人が6割超に達した。
ここには「覇権疲れ」とも呼ぶべき状況がある。2000年代、「超大国」と呼ばれたアメリカは、01年の9.11同時多発テロ事件をきっかけに、世界中で「テロとの戦い」に乗り出し、20年超で全世界に戦闘員・非戦闘員合わせて90万の犠牲を生み、8兆ドルの戦費を浪費した。
こうした経緯から、とりわけ若年層には「アメリカは唯一の覇権国でなければならず、そのためにはいかなるコストも払うべきだ」という感覚は希薄だ。むしろ、アメリカはむやみやたらと覇権を追求し、それ故に格差の是正や社会保障の充実など、国内の重要課題をなおざりにしてきたという覇権への批判意識やネガティブな感情のほうが強い。
「例外主義」を捨てつつあるアメリカと、私たちはどのように向き合っていくべきだろうか。
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