Marwa Rashad Stephanie Kelly Emily Chow

[ロンドン/シンガポール 30日 ロイター] - 英シェルは30日に公表した液化天然ガス(LNG)市場見通しに関する年次報告で、イランを巡る戦争によるホルムズ海峡の海運の混乱が今後3カ月以内に正常化した場合でも、2026年の世界のLNG取引量は前年比横ばいにとどまる公算が大きいとの予想を明らかにした。市場は27年には成長軌道に戻り、需要が50年に向けて大幅に拡大すると見込んでいる。

LNG取引量は25年に4億2200万トンとなり、シェルは当初、26年の増加を予想していた。

LNGは今年の取引量が足踏み状態と予想されているものの、石炭よりも温暖化ガス排出量の少ないエネルギー源への転換を進めるアジア諸国の需要に加え、データセンターの増設に伴う電力需要の拡大が主なけん引役になる。世界的な需要は50年までに65%程度増え、50年時点で年7億トン近くに達すると予想されている。

シェルの統合ガス部門プレジデント、セデリック・クレマース氏は報告書で「今回の紛争は経済のあらゆる分野に影響が波及し、システム全体にショックをもたらしたが、LNG業界は高い回復力を示し、市場環境の変化に適応する能力を証明した」と述べた。シェルによると、近年のLNG供給能力や受け入れ基地(再ガス化設備)の拡充によって市場の強靱性が高まり、ホルムズ海峡での海上輸送混乱の影響を一定程度抑えることができたという。

さらに北米で新たな液化設備の稼働が進んでいることに加え、既存設備の稼働率向上やアジアのLNG輸入の鈍化が、中東からの供給減少を補う要因になっている。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。