Miho Uranaka Sam Nussey
[東京 1日 ロイター] - 川崎重工業が、公募増資と新株予約権付社債(転換社債=CB)を組み合わせ総額2000億円規模の資金を調達する方向で最終調整に入ったことが分かった。複数の関係者が明らかにした。航空機エンジンやガスタービン、半導体製造装置向けロボットの設備投資に充てる。中長期的な成長を見込むフィジカルAI分野などにも資金を投じる。
関係者らによると、今週中にも公募増資とCBの発行を決議する。うち1人の関係者によると、普通株式と転換社債ともに、海外の機関投資家に重点的に販売する。
川重にコメントを求めたが、回答は得られていない。
川重は、人工知能(AI)の普及に伴うデータセンター需要の拡大を追い風に、ガスタービンや半導体製造装置向けロボットなどAI関連需要の取り込みを成長戦略の柱の一つに据える。民間航空需要の回復で、航空機エンジン向け部品の増産も進めている。
フィジカルAI分野では、米エヌビディアなどと協業し次世代ロボットの開発を加速。このほか、水素分野で供給網の構築や、天然ガスから水素を経由してガソリンを製造する技術の事業化を推進している。いずれも将来的な収益貢献を目指す分野だが、投資回収まで一定の時間を要するため、転換されるまで新株が発行されず即時の株式希薄化を抑制できる転換社債を活用して資金を調達する考えだ。
今回の成長投資の中心は航空機やロボットだが、防衛需要の拡大も事業全体の追い風となっている。川重は航空機や潜水艦、ミサイル、艦艇機器など幅広い防衛装備品を手掛ける国内有数の重工メーカーで、6月にはエアバスの防衛事業子会社と無人機(ドローン)で協業を検討する覚書を締結。欧州3社が共同開発する「ユーロドローン」に同社の対潜水艦作戦向けシステムなどを搭載し、防衛省向けに提案する方針も打ち出した。
2026年度は防衛省向け大型案件の谷間となるものの、会社側は27年度以降、防衛需要は再び拡大するとの見方を示し、30年度までには、全事業で事業利益率10%超を目指している。
川重が5月に公表した25年度決算では、売上収益が2兆3112億円、事業利益が1451億円といずれも過去最高を更新した。26年度も事業利益1700億円とさらなる増益を見込む。橋本康彦社長は決算説明会で、「防衛予算の拡大やフィジカルAIの台頭、政府による戦略17分野の明確化など、培ってきた技術と事業が真価を発揮する機会がますます大きくなっている」と述べている。