Takahiko Wada
[東京 30日 ロイター] - 日銀の佐藤綾野審議委員は30日の就任会見で、為替について、企業の賃金・価格設定行動が積極化するもとで「以前に比べ、為替変動が物価に与える影響が大きくなる可能性もある」と指摘。予想物価上昇率を通じて基調物価に影響を及ぼす可能性に留意して、為替動向をしっかり見極めていく必要があると述べた。
外為市場では円安が一段と強まり、ドル/円は162円前半と約40年ぶりの円安水準にある。佐藤委員は為替水準についてはコメントを差し控えるとした。その上で「短期的に大きな変動はよろしくない」とし、金融・経済のファンダメンタルズを反映して決まるべきものだと述べた。
会見で佐藤委員は、政策スタンスなどコメントを控える場面が目立ったが、為替に関する一連の発言は日銀幹部の従来の公式発言に沿ったものとなった。
日銀は6月の決定会合で、中東情勢緊迫化に伴う景気の下振れリスクが後退する一方で、物価の上振れリスクが高まったとして利上げに踏み切った。佐藤委員は利上げ判断の是非については言及を避けたが「景気の下振れリスクとインフレの上振れリスクの双方に注意が必要だ」と述べた。
物価動向を巡っては、足元の消費者物価指数の前年比伸び率が高くないことを踏まえ「まだノルムとしてはそれほど強いものではない」と指摘した。
中立金利については「推計のレンジはかなり広い」として、政策金利が緩和的なのか引き締め的なのかの基準は「あいまい」だと述べた。
<大規模緩和、「一定の効果あった」>
佐藤氏は高市政権下で任命され、就任した2人目の審議委員。積極財政や金融緩和を支持する「リフレ派」とみられているが「自分自身を特定の考え方や学派に規定したつもりはない」と述べた。日本経済に対する円安メリットや金融緩和の支持など、過去の発言は当時の分析に基づくものだと説明した。
財政政策と金融政策のポリシーミックスについては「財政と金融それぞれの役割分担が重要」で「経済情勢によって判断されるべきもの」としたものの、それ以上は踏み込まなかった。就任に当たって、高市首相から特に指示はなかったとも述べた。
黒田東彦前総裁の下での大規模緩和については「一定の効果があった」として、雇用の改善や株価の上昇を挙げた。その一方で、2%の物価目標が達成できなかった点は「マイナスの評価」とした。